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カラーユニバーサルデザインと教科書

カラーユニバーサルデザインとは、多様な色覚に配慮して、情報がなるべく正しくに伝わるように、利用者の視点に立ったデザインのことを言い、学校で使用する教科書にも多く活用されています。どのような形でカラーユニバーサルデザインはいかされているのかを考えていきます。

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お子さんの教科書を開いてみて、自分たちの子どもの頃とはまったく違うカラフルな色使いに驚いた経験を持つ保護者の方も多いのではないでしょうか。 技術の発達と共に視覚情報は年々多様化しており、私たちの身の回りのあらゆるものに、非常にたくさんの色が使用されています。ですが、この「色」によって困ることがある人が一定数いることを知っていますか? 色の見え方は、人によって異なります。ある人にとって見やすい、区別しやすい配色が、別の人にとっては区別するのに困難な、見づらい配色になっている場合があるのです。多様な色覚を考慮して配色を行い、できるだけすべての人に情報が等しく正確に伝わるよう配慮されたデザインを、「カラーユニバーサルデザイン」と言います。 教育の現場で子どもたちが毎日使う教科書は、視覚的な見えにくさ、わかりにくさによって学習につまずくことのないよう、誰にとっても見やすく、学びやすい工夫が求められます。現在では、各出版社が、カラーユニバーサルデザインに配慮した教科書づくりに取り組んでいます。

クラスに1人はいる、色使いに配慮が必要な子どもたちとは?

私たちの色の見え方には違いがあり、赤・緑・青のどの色を感じることができるかによって、5つの色覚型に分類することができます。 ・C型:赤・緑・青の全ての色を感じることができる ・P型:赤の色を感じる錐体(すいたい)がないか、機能が十分でない ・D型:緑の色を感じる錐体がないか、機能が十分でない ・T型:青の色を主に感じる錐体がない(きわめて少ない) ・A型:3原色のうち1色のみ感じられるか、錐体がまったくない(きわめて少ない) このうち、C型の色覚を持つ人が、「一般色覚者」と呼ばれています。そして、C型以外の色覚を持つ人たちは、色使いに配慮が必要になることから、「色弱者(しきじゃくしゃ)」と総称されるようになりました。色弱者は、日本では男性の20人に1人,女性の場合は数百人に1人の割合でいると考えられています。ですから、例えば40人学級で男女が同数と仮定したとき、クラスに1人は色弱の児童・生徒が存在することになるのです。 色弱者であることは,目に見えるわけではないため他の人からはわかりません。その上、本人自身が気づいていない場合もあります。色弱者のほとんどは、遺伝による先天性のものです。かつては小学校で必ず行われていた色覚検査ですが、「差別につながる」として、2003年に健康診断の必須項目から除外されました。 ですが、色弱者であれば、知っておくべきこと、注意すべきことがたくさんあります。 また、早く状況を認識することで、家族や学校側がサポートできることもたくさんあるのです。もしも、子どもの色覚に違和感を持った場合は、眼科で精密検査を受けましょう。お子さんの色覚の特性や、注意すべき色合わせについて詳しく知ることができます。

一部の子どもたちが困ってしまう、区別しにくい色使いとは?

色弱者が区別しにくい色使いとは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。色は、赤、青など色の種類を表す「色相(しきそう)」、色の明るさの度合いを示す「明度」、色の鮮やかさの程度を表す「彩度」の3つの要素で構成されています。 色弱者の場合、同じ明度や同じ彩度に属する色同士は見分けることが難しいと言われています。色覚型や強度にもよりますが、「赤と緑」「ピンクと水色」「青と紫」「黄色と黄緑」などが、色弱者が見分けづらい代表的な色の組み合わせです。 学校生活においては、 ・赤のチョークで書かれた黒板の文字が見づらい ・社会科で、地図やグラフの色分けがわかりづらい ・体育で、色でチーム分けをしたとき、敵・味方の区別がつきにくい ・図工で使う色画用紙の色の区別がつきにくい ・理科の実験で、色の変化がわかりづらい このような様々な不便が日常的に起きていながらも、言い出せていない子どもが存在するかもしれません。 教育の現場において、たとえ校内に1人だけだったとしても、視覚的な見えにくさ、わかりにくさによって孤立したり、学習につまずいたりするようなことは、あってはならないことです。そのため、誰にとっても、見やすく学びやすいデザインの工夫が求められます。

多様な色覚に対応できる「カラーユニバーサルデザイン」とは?

色弱者の人口は日本国内で320万人以上、世界では2億人を超えると考えられており、これは、「血液型がAB型の男性」の割合にも匹敵します。また、目の疾患や老化によって色の見え方が変化する場合もあり、高齢化が進む日本では、色覚に配慮が必要な人の人口がますます増えてくる可能性もあります。 そこで、色による情報伝達のバリアをなくし、できるだけすべての人に情報が正確に伝わるよう配慮されたデザインが、社会的にも求められるようになりました。近年では、ゲーム機の電池残量を示すランプを、色弱者が見づらい従来の「黄緑と赤」から「青と赤」に変更した例があります。また、「青と赤」に変えることで、一般色覚者が見分けづらくなることはありません。 このように、どの色覚の持ち主であっても見分けやすい、多様な色覚に配慮されたデザインを、「カラーユニバーサルデザイン」と言います。とりわけ、まだ社会的な経験が少ない子どもたちの学習の場においては、少数が不利になることのないように配慮することはとても重要です。さらに、医療、交通などの場においては、色による情報の取り違えが起こるのは大変危険なことでもあります。現在では、災害時の気象情報の表示をはじめとして、公共性・安全性に関わる分野を中心に、カラーユニバーサルデザインに対応した改善がなされるようになりました。 色弱者に配慮してデザインを考えるということは、時として一般色覚者にもわかりづらい、一貫性のない色使いを見直すことにもつながります。伝えたい情報の優先順位を考え、利用者の視点に立ち、使いやすさを追求したデザインは、結果として、一般色覚者の人にとっても「整理された、見やすい・伝わるデザイン」になります。つまり、カラーユニバーサルデザインは、全ての人に価値あるものなのです。

教科書に活用されている、カラーユニバーサルデザインの具体例

学校の教科書に活用されているカラーユニバーサルデザインは、実際にどのようなものなのでしょうか?現在では、教科書を発行する各出版社が、カラーユニバーサルデザインに対応した様々な工夫を採用しています。 具体例としては、 ・地図帳で、オレンジから緑の色で色分けしていたものを、緑系の濃淡のみで表現 ・英語の罫線の下線に赤を用いていたが、黒と同化しやすいため、青色に変更 ・算数で、特定の色のものを選ばせたり、赤色のものと青色のものの量を比べさせたりする色の違いのみに頼った設問は避け、色以外の要素でも識別できるようにする ・理科で、色の「違い」や「変化」を学習する場面では、色名を文字にして付記することによって混乱を避ける ・写真やイラスト、図表などは、白抜きにしたり縁取りを入れたりすることで境目をはっきりと示し、まぎらわしさや混乱を避ける ・折れ線グラフなどの図表は、実線と点線などを使い分けたり、文字や記号を添えたりして、色以外からも情報が得られる工夫をする ・図やグラフなどで、色の塗り分けにハッチング(模様)を使う などがあり、色選び以外の工夫も重要なポイントとなっていますが、理想的なのは、「白黒化したときにも、判別できるデザイン」だということが言えます。 その他、書体や文字の線の太さなどにも工夫が施され、色弱者だけでなく、すべての児童・生徒にとって見やすい教科書づくりに、各出版社が注力しています。ぜひ、改めて教科書を手に取って、各社のカラーユニバーサルデザインの工夫を探してみて下さい。

まとめ

●色の見え方には5つの色覚型(C型・P型・D型・A型・T型)があり、一般色覚者(C型)以外は「色弱者」と総称される。割合として、クラスに1人は色弱者がいることになる。 ●色の組み合わせによっては色弱者が見分けづらい場合があり、学校生活の中で困っている子どもがいる可能性もある。 ●多様な色覚に対応する「カラーユニバーサルデザイン」は、色弱者だけでなく一般色覚者にとっても見やすい、伝わるデザインである。 ●各出版社が、カラーユニバーサルデザインに対応した様々な工夫を施した教科書づくりに尽力している。