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教科「情報」が大学受験科目に!?

2022年の学習指導要領の改訂で導入される新しい科目として「情報」があります。この「情報」は大学受験科目にも検討をされています。はたしてどのような科目なのでしょうか。

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近年メディアでも盛んに話題に上っていますが、向こう数年間で大学入試が大きく変わろうとしています。その1つのトピックとして、約30年間続いた「大学入試センター試験」が、「大学入学共通テスト」に生まれ変わります。このことにより、従来型の知識を問う形式のテストから、知識のみならず、思考力や判断力、表現力、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度などが問われることになります。 また、2つ目のトピックは、2022年の学習指導要領の改訂を受け、2025年より出題教科と科目数が再編される予定で現在検討が進められている点です。その一環として、「情報」という新たな教科が大学受験科目に追加されことが予定されているのです。 今回はこの新しく大学入試の教科に加わる「情報」とはどんなものなのか、見ていきましょう。

2025年より大学入試の教科が増える?新たな教科「情報」が追加に

2025年の出題教科の再編によって、大学入試は具体的にどのように変わっていくのでしょうか。2025年からの大学入試における出題教科と科目数は、現在の6教科30科目から7教科21科目に変更される予定となっています。 では、具体的にはどのように再編されるのでしょうか。従来から試験教科とされている「国語」、「数学」、「英語」、これらに加えて、プログラミングや情報リテラシーを扱う教科である「情報」が新しい教科として追加されることとなります。これは当然のことながら、昨今の世の中の情報化、ICT化を受けての流れです。 なお、テスト形式については教科の性質を考慮すれば、当然のことながら「タブレットやパソコンなどの情報機器などを使用しての実施が望ましい」とされています。しかしながら、大学入学共通テストは何十万人もの受験者が受験するテストであり、全国的に同じレベルで機器を導入することができるかということや、機器トラブルが起こった場合の対応などの公平性の観点から、現状では導入が難しいとされており、現段階ではマークシート方式での実施を予定しています。

大学入試が変化する背景には何があるのか?

では、なぜこのタイミングで大学入試の出題教科と科目数が変わるのでしょうか? 2018年、政府が次世代の社会構造を踏まえ、産業と人材の育成方針を定めた成長戦略である「未来投資戦略」で、AI時代に対応した人材育成とその最適活用を目的として、大学入試において、「情報Ⅰ」を必履修科目として追加することを決定したことに端を発しています。これを受け、文部科学省や共通テストを運営する「入試センター」は詳しい検討を進めてきました。 そして、2020年より順次改訂される新学習指導要領で学ぶ高校生が、大学受験に臨む2025年以降、大学入学共通テストにプログラミングや情報リテラシーなどを扱う「情報」科目を取り入れる方向で、入試センターが大学や高校などから意見を募り、今年度中にまとめられる見込みとなっています。現在は試作問題が作成されるなど、検討が進められています。

新しい学習指導要領ってどんな内容なの?

今回の大学入試の大きな変化は学習指導要領の改訂に伴ったものです。学習指導要領とは文部科学省が定める学校教育における指針で、子どもたちがこれからの世の中を生き抜いていくために必要な資質や能力を身につけるための教育課程の基準です。社会の変化を見据え、4年ごとに改訂されます。そして大きな改訂は12年ごとに行われます。今回焦点となっている学習指導要領の改訂は、2020年の小学校を皮切りに、2021年には中学校、2022年からは高校の学習指導要領の改訂と順次行われます。 今回の学習指導要領の改訂は、子どもたちが昨今のグローバル化やICT化、AIなどの技術革新などが進む世の中を生き抜く力を育むための内容を盛り込んだものになっています。具体的には、小学校からの「外国語教育の導入」、「プログラミングの必修化」が大きな柱となります。

「情報」とはどんなことを学ぶ教科なのか?現状の学習指導要領下での「情報」

今回の学習指導要領の改訂に伴い、高等学校において学ぶ「情報科」は現在の「社会と情報」「情報の科学」2科目から、「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」2科目へ再編されます。 なお、現行の学習指導要領下における「情報」は、プログラミングを含まない「社会と情報」とプログラミングを含む「情報の科学」に分けることができます。そして、これらのいずれか1科目(2単位)を選択、履修する必要があります。 現状では、なんと約8割の生徒がプログラミングを含まない「社会と情報」を選択しているといわれています。高等学校を卒業する段階でプログラミングを学んだ経験がある人材が2割程度というのは、現在、および今後急速に加速すると予想されるICT化やAI技術の発展する世の中の流れに即していないことは明らかであり、プログラム教育が進んでいる他の先進国諸国にもかなりの後れを取っていると言わざるを得ません。

新しい「情報」とはどんなことを学ぶ教科なのか?何を目指しているのか?

では、新しい学習指導要領下での「情報」とは具体的にはどのような内容を学ぶ教科なのでしょうか。新しい「情報」を導入するに当たって目指すところは「文系、理系などの専攻や卒業後の進路を問わず、情報活用能力を国民的素養として身につける」ことです。 そこで文系理系を問わず全ての生徒がプログラミングを学べるよう、共通の必修科目として「情報Ⅰ」が新設されることになります。しかしながら、「情報Ⅰ」の学習によって、現在の世の中で必要とされている情報リテラシーやICT技術が充分に学べるとは言えません。また、もっと深く学びたいという意欲のある学生の要望に充分にこたえられるかという点でも疑問が残ります。 そこで新学習指導要領下では、「情報科」は「情報Ⅰ(プログラミングを含む。共通必履修)」と「情報Ⅱ(より高度な内容を含む。選択科目)」に分けられることになります。 具体的には「情報Ⅰ」は目的のために必要なツールを自ら選択し、内容をプログラムできる能力、「情報Ⅱ」はさらにレベルが高く、目的に合ったシステム全体を自ら構築運営する能力を身に着けることを目的とした教科になります。 大学入試センター及び、情報処理学会はこの必履修科目とされる「情報Ⅰ」で習得することができる4つの領域である「情報社会の問題解決」「コミュニケーションと情報デザイン」「コンピュータとプログラミング」「情報通信ネットワークとデータの活用」は、文系、理系の別を問わず全ての生徒が学習するべきものであり、分野を問わず大学での学習の基盤となるとの認識を示しています。 ただし、「情報科」への期待が高まる一方で、これらの実現には「大学入学試験においてプログラミング能力を十分に測ることは可能なのか」という疑問や「情報科を専門とする教員が不足している」ことなど、いまだ課題は残っています。