エデュコンは東京・永田町の学習教材(コンテンツ)制作&教育コンサルティングの会社です。

【調査】教科書などの教材改訂の仕組み

教科書などの教材改訂は、数年に1度行われています。エデュコンでは、学習教材の編集プロダクションとして、教科書の教材改訂の仕組みについてご紹介します。

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定期的に話題に上がる、教材改訂ですがその度に、一斉に日本全国の出版社や教材編集プロダクション、フリーランスの執筆者たちが、必死になって教科書や教科書ガイド、学習参考書(以下:学参)の制作に精を出しています。その忙しさときたら。。。と考えるだけでも嫌になってしまう作業従事者の方も少なくないと思います。では、そもそも教材改訂とはどのような目的で行われているのでしょうか。そのあたりも交えながら、ここでは教材改訂についてご紹介していきます。

学習指導要領の改訂

日本の教科書は4年に一度改訂があります。さらに12年に一度大改訂があります。今年(2020年)はその大改訂の年に当たり、小学校教材が大きく変わります。次いで、翌年、翌々年と中学校、高校の教材が改訂されていきます。この改訂は、なぜ行われるのか、それは一言で言えば、文科省が定める学習指導要領の改訂が行われるからです。 学習指導要領の改訂は、簡単にいえば、その時々の求められる、技能や知識、人間性を養うために最適な学習環境を整える目的と、最新の情報を正しく学習させる目的で行われます。 いままでの学習指導要領は、各教科とも「教員が何を教えるか」という観点を中心として組み立てられていて、知識や技能の内容に沿って整理されたものでありました。そのため、指導の目的が知識・技能にとどまりがちであり、一つ一つの学びの目的や、育むべき力がどのようなものかは明確ではありませんでした。 しかし、2020年改正の学校教育法では、教育によって育むべき三つの資質・能力として「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性等」が示されました。新学習指導要領は、この資質・能力を「教育の三本の柱」とし、全ての科目について、児童・生徒が学びを通してどのような力をつけるのか、そして、その力をどのように活用するのかまでの目的が詳細に示されました。 新たな取り組みと、引き続き重視されるもの 今回の教育改訂の軸として、目指していることを簡単に紹介します。 ・プログラミング教育 コンピューターを活用した学習でプログラミング的思考力を養う。 ・外国語教育 「聞く」・「読む」・「話す」・「書く」力を総合的に養う。 ・言語教育 国語を中心として、全ての科目で子供たちの言葉の力を養う。 ・理数教育 観察・実験などのより科学的に探究する学習活動でデータ分析による課題解決の力を養う。 ・伝統文化に関する教育 我が国や郷土が育んだ日本の伝統文化を学ぶ。 ・主権者教育 社会の中で自立し、他者との連携・協働に参画する力を養う。 ・消費者教育 契約の重要性や消費者の権利と責任などについて学習し、自立した消費者として行動する力を養う。 ・特別支援教育 幼児期から高等学校段階まで、全ての学校で障害に応じた指導を行い、一人一人の能力や可能性を最大限に伸ばす。 これらを軸として、各科目でこの目標の体現を目指した教育改訂が行われ、それに合わせる形で教科書の改訂が進められます。

教科書改訂

4年または、12年ごとに改訂される学習指導要領に準じて、教科書の改訂は進められます。都度それに合わせて、教科書の内容に大なり小なりの変化が加えられます。例えば、英語であれば、小学3・4年生は週1回(年間35回)、小学5・6年生は週2回(年間70回)授業が行われることになり、今まで中学校で学習すべき内容が大量に小学校での学習内容として前倒されていきます。同様に他の科目でも、学習すべき内容が増えることにより、以前より学年が前倒しにされる学習項目や後ろ倒しにされるもの、削除されるものが出てきます。 該当学年での学習内容の変化をふまえながら、今回であれば、教育によって育むべき三つの資質・能力である「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性等」というテーマに合うように、毎回の学習指導要領改訂のテーマに沿った力を養っていくにふさわしい教材となるように、毎回の改訂で教科書を変化させています。 そうして編集者によって制作された教科書は、文部科学省の諮問機関などで審査を受け、合格することで生徒が手にできる教科書ができあがります。

学習参考書改訂

学習指導要領の変更に伴って、教科書が改訂されると、それに合わせて多くの学習参考書(以下:学参)も改訂に入ります。このタイミングで、日本全国の出版社や教材編集プロダクション、フリーランスの執筆者たちが一斉に動き出します。教科書の制作は、いわゆる誰もが耳にしたことのある大手出版社が行っていますが、学参はその他数多に制作者がいます。なぜ、一斉に動き出すことになるのかというと、教科書が発表されればそれがすぐに実装され、そこに合わせて学参の準備をしなくてはならないからです。新しい教科書とともに学参として生徒に配布できるようにするには、年内、遅くとも翌年2月あたりには完成していないといけません。教科書の変更に合わせて、内容を変えていくわけですから、早期に取りかかるということが難しいために、この改訂期は非常にあわただしくなります。 また、学参改訂でもう一つ、作業従事者があわただしくなる理由として、出版社からの注文です。改訂された教科書に合わせて従来のものに、追加・削除の作業を加えるだけであればさほど、時間はかかりません。しかし、出版社も商売をしているわけですから、より売れるものを作りたいというのが、必然です。そこで、多くの出版社はこの機会に、デザインの変更や、内容のバージョンアップのため問題の増減などをして、売るための工夫をしようとします。教材編集プロダクションやフリーランスの執筆者たちは、その考えを汲み取り、なんとか求められたものを完成させようと必死になります。この作業に時間と労力がかかります。 今回のような大改訂の際には、改定期が3年続きますから相当苦労する方が増えてきます。

教材改訂のポイント

教材改訂期の出版社や教材編集プロダクション、フリーランスの執筆者たちは、多忙を極めます。改定期の忙しさを少しでも緩和できるとうれしいですよね。 そのためには、やはり予めの準備が大切になってきます。出版社や、編集プロダクションであれば、実際に執筆を依頼する相手を決めておき、先だって打ち合わせ等を行い、流れの確認や、作業可能範囲を把握しておくことで、とっぴな対応を依頼しなくてはならないことや、必要な作業ができる作業従事者を探しなおすなどの時間を省くことができます。 執筆従事者であれば、新指導要領がわかった時点で、単元ごと必要になりそうな問題を作成しておくなどすれば、時間短縮にはなります。 作業従事者にとっては、仕事が決まる前から予め準備するというのは、リスクがありますから、やはり出版社やプロダクション側が先に動き、作業従事者が動き出しやすい環境を整えておくというのは必要な準備かと思います。 とにかく、つきなみな策ですが、関係者とは早め早めにつながりを持ち、チームで改訂作業に取り掛かれる環境を作っておくべきでしょう。