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学習指導要領の変化によって大学入試も変わる?

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高校生向け教材コラム

1979年に「共通第一次学力試験」の名前で始まった一律テストは、「センター試験」、「大学入学共通テスト」と時代に合わせてその形を変えて行われてきました。
そして2025年度。大学入学共通テストは2022年4月入学の高校生から施行された新学習指導要領の内容に合わせて大幅な変更が行われます。


この記事では、2022年9月29日に公表された「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大網の予告(補遺)」で公開された情報や文部科学省、大学入試センターによる報告からわかる具体的な変更内容や対策方法を解説します。

大学入学共通テストに見られる変化

2022年4月入学の高校生から学習指導要領が新しいものになるのに伴い、大学入学共通テストの内容も大幅な変更が予定されています。

大きな変更点は2つ。
1つ目は「思考力・判断力・表現力」を問う問題が増えること、2つ目は「情報」が試験科目として増えることです。
その他にも各教科で教科・科目の再編が行われたり、試験時間が変更されたりしています。

では、なぜこのような変化が起こるのでしょうか?

大学入学共通テストは、学習指導要領が目標と定めた資質や能力が備わっているかどうかを問う問題が作成されています。

学習指導要領とは、各学校の教育課程(カリキュラム)を決める大元になっている基準です。
学校で習うことと社会で使う知識は異なると揶揄されることもありますが、学校で行われる教育はすべてその時代の変化を見据え、約10年に1度、より社会に求められる力が育つカリキュラムになるように改定が行われています。
近年はグローバル化や情報化などにより、社会から求められる資質や能力の変化が大きいため、変化に対応できるようにカリキュラムの元となる学習指導要領も大きく変更されました。
それに伴い、大学入学共通テストも問いたい資質や能力をはかれるような内容を目指し、2022年入学の高校生が受験をする2025年度入試の大学入学共通テストから内容が大幅に変更されることになったのです。

それでは、変更点を1つずつ見ていきましょう。

1つ目の変更点は「思考力・判断力・表現力」を問う問題が増えることです。

急速に変化を遂げる社会に対応できるよう、文部科学省は「知識・技能」だけではなく、「思考力・判断力・表現力」や「主体性・多様性・協働性」を生きる力として育成していこうとしています。
特に力を入れているのが「思考力・判断力・表現力」で、「思考力」は「与えられた情報を元に全体の構造を理解する力」、「判断力」は「複数の資料から情報を読み解く力」、「表現力」は「理解した内容を整理し、根拠に基づいて理論的に表現する力」のことを指します。
このような資質や能力が身についているかどうかを問うために、2025年度入試から使われる大学入学共通テストでは、どの教科・科目においても資料やデータを使って解く問題が含まれている可能性が高いです。

2つ目の変更点は、5教科7科目であった受験科目に「情報」が加わることです。

今までの一律テストは国語・社会・数学・理科・英語の5教科7科目でしたが、2025年度入試からは国語・社会・数学・理科・英語・情報の6教科8科目に変更になります。
また、学習指導要領で行われた教科・科目構成の見直しによって出題科目名が変更になっています。

地理歴史・公民では選択科目が、
・地理探究
・日本史探究
・世界史探究
・倫理
・政治・経済
の5科目となり、
出題科目はこの5科目と必修科目を合わせた
・「地理総合、地理探究」
・「歴史総合、日本史探究」
・「歴史総合、世界史探究」
・「地理総合、歴史総合、公共」(いずれか2科目を選択)
・「公共、倫理」
・「公共、政治・経済」
の6科目になりました。

数学では、数学①は例年通り、数学②は学習指導要領に「数学C」という科目が新設されたことに伴い、選べる科目が再編されました。

今までの数学②では
・数学Ⅱ・数学B
・数学Ⅱ
・簿記・会計
・情報基礎関係
の4つの出題科目から受験科目を選択していましたが、2025年度からは、
・数学Ⅱ・数学B・数学C
しか選べなくなります。

数学②は問題用紙自体は共通になり、
・数学Bから2項目(数列、統計的な推測)
・数学Cから2項目(ベクトル、平面上の曲線と複素数平面)
の計4項目から3項目を選んで解く選択解答の形式になりました。

英語は出題科目の表現が「コミュニケーション英語I・同II・英語表現I」から「英語コミュニケーションI、同II、論理・表現I」に変わっていますが、試験の形式に変更はなく、解答はマークシート用紙、従来通りICプレイヤーを使ったリスニングを含む試験が実施されます。

その他の変更点としては、国語と数学②の試験時間がそれぞれ10分ずつ増えています。

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資料やデータを使って解く問題

主な変更点で述べた通り、「思考力・判断力・表現力」を問うために2025年度大学入学共通テストでは資料やデータを使って解く問題が各教科で出題されます。

現在公表されている出題例によると、資料を読み取り、適切に判断する力が試される傾向にありそうです。

国語では、指定されたテーマに対するレポートを作成する力を問われています。
具体的には
・グラフや図、説明文などの資料から必要な情報を読み取る力
・レポートの構成や根拠の示し方を分析し検討する力
などが例示されています。

数学では計算するだけではなく、計算結果から何を導き出せるのかを問う問題が出題されます。
例えば、統計資料からデータの傾向を読み取ることができるか、主張の妥当性について実験結果などを通して論理的に判断できるかなどが問われています。

情報では、教科書の基礎知識を使ってデータを分析・活用する力が問われています。
データサイエンスという莫大なデータから有益な情報を見つける分野など、デジタル社会における情報の重要性が伝わる身近なテーマの出題が予定されています。

地理歴史では資料を基に指定されたテーマについて思考するという場面設定がされ、複数の資料から情報を読み取り、考察する力が問われます。

公共では社会問題などについて多面的・多様的に考察し、様々な資料から情報を読み取り、考察するような問題が出題されています。

実用的な英語を目指して

英語は試験の形式事態に大きな変化はなく、従来通りの紙の試験とICプレイヤーを使用したリスニング問題が行われます。

しかし、その出題内容自体は注意が必要です。
新学習指導要領では、英語はより実用性を求めて科目の再編が行われています。

現行の学習指導要領では、英語の科目は
・コミュニケーション英語基礎
・コミュニケーション英語Ⅰ
・コミュニケーション英語Ⅱ
・コミュニケーション英語Ⅲ
・英語表現Ⅰ
・英語表現Ⅱ
・英語会話
の6科目に分かれています。これが新学習指導要領では
・英語コミュニケーションⅠ
・英語コミュニケーションⅡ
・英語コミュニケーションⅢ
・論理・表現Ⅰ
・論理・表現Ⅱ
・論理・表現Ⅲ
の6科目に変わっています。

英語コミュニケーションは総合的な言語活動に必要な力をバランスよく育成するために設定されています。具体的には、
・聞くこと
・読むこと
・話すこと(やり取り)
・話すこと(発表)
・書くこと
の5つの力がバランスよく育成されるようにカリキュラムが組まれています。

これに対し、新しく出題科目に設定された「論理・表現」は学習指導要領で新設された科目であり、発信力の強化を目的です。
先ほどの言語活動に必要な力で言うと、「話すこと(やりとり)」と「話すこと(発表)」がメインの科目で、プレゼンやディベートなど、「英語で自分の意見を主張する力」の育成を目指しています。

このように、実用的な場面で英語を使う力が重視されていることを踏まえると、大学入学共通テストの問題でもそのような「英語で自分の意見を主張する力」を問う問題が出題される可能性が高いです。

実際、試作問題では指定のテーマに関する意見を述べる場面が問題として設定されており、他者の意見や資料を参考にし、根拠を明確にしながら自分の意見を表現する力が問われています。

また、リスニング問題は大学の講義におけるディスカッションが設問の場面設定となっていました。リスニング問題も単純な「聞くこと」だけではなく、「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと(やりとり)」、「話すこと(発表)」、「書くこと」といった複数の力を総合的に活用した言語活動を意識した問題になっていることがわかります。

2025年度入試からの変化に向けて

では、2025年度入試からの変化に向けて、今私たちには何ができるのでしょうか?

現時点で行うことは2つあります。
1つ目は情報収集です。
今回ご紹介した情報は2025年度大学入学共通テストに関する決まりのごく一部です。現在サンプル問題が公開されているのは「地理総合」、「歴史総合」、「公共」、「情報」の4科目だけであり、他の科目は問題作成の方向性と試作問題についてまでしか公開されていません。
今後のスケジュールとしては、
・2022年度中 各大学「大学入学共通テスト利用教科・科目の予告」
・2023年6月 文部科学省「令和7年度大学入学選抜に係る大学入学共通テスト実施大網」公表
・2023年6月 大学入試センター「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト出題教科・科目の出題方法及び問題作成方針」公表
・2024年6月頃 大学入試センター「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要項」公表
が予定されています。
現段階で公表されている情報はあくまで暫定的なものであるため、各タイミングでの公式発表を参考に対策を練ることが大切です。

2つ目は、文理や受験科目に囚われずに幅広い知識を得ておくことです。
どの教科でも、「思考力・判断力・表現力」を問う問題を出題するために、複数ある資料から情報を読み取り、分析し、判断した結果を伝える力が必要になります。
そのためには、各教科を横断する幅広い知識が大切です。
また、日頃から根拠を考えたり、自分の言葉で意見を表現したりする力を鍛えておきましょう。

まとめ

2025年度大学入学共通テストでは、2022年4月から施行されている新学習指導要領に合わせてその内容が大幅に変化しています。
主な変更点は、
1.資料やデータから意見を述べる「思考力・判断力・表現力」を問う問題が増えること
2.「情報」が増えたことで5教科から6教科になったこと
の2つです。

この他にも出題科目の改変や試験時間の延長など様々な変化が決まっていますが、詳細についてはいまだ検討中です。各大学や文部科学省、大学入試センターからの続報を待ちながら、総合的な学力を高めておきましょう。

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