入試問題制作の流れ(入門編) 〜1つの問題ができるまで、私たちが行っている全工程〜

こんにちは、株式会社エデュコンです。受験シーズン、受験生の皆さんが向き合う「入試問題」。 たった数ページの冊子ですが、実はその1冊が出来上がるまでに、数ヶ月から半年以上の時間がかけられていることをご存知でしょうか?「先生が1人で机に向かって作っている」 そんなイメージを持たれることもありますが、ミスの許されない入試や模試の制作現場では、多くのプロフェッショナルが関わり、何重もの工程を経て作られています。今回は、私たちエデュコンが実際に行っている「入試問題制作の全フロー」を公開します。 1点の重みを背負った「良問」がどのように生まれるのか、その裏側をご紹介します。
【STEP 1】仕様設計・プランニング

入試問題制作は、いきなり問題を書き始めるわけではありません。まずは「設計図」を作るところからスタートします。
・アドミッション・ポリシーの分析: その学校が「どんな学生を求めているのか」を明確にします。「基礎学力」を重視するのか、「思考力・表現力」を問いたいのかによって、問題の方向性は全く異なるからです。
・全体構成(台割)の作成: 「大問1は計算問題、大問2は図形…」といった全体の枠組みを決めます。 制限時間内に解ききれる分量か? 難易度のバランスは適切か? 過去の出題傾向と乖離していないか? などを計算し尽くした「構成案」を作成します。
【STEP 2】作問・原稿執筆

設計図ができたら、各教科の専門スタッフ・外部の知見者による「作問」に入ります。 ここでは単に教科書から問題を出すのではなく、以下のような緻密な作業が行われています。
・素材・テーマの選定: 例えば国語なら、著作権処理が可能で、かつ受験生の読解力を測るのに適切な長さ・難易度の文章を探し出します。社会なら、最新の統計データや時事問題との正確性を精査します。
・数値・条件の設定(数学・理科): 「計算が複雑になりすぎないか」「解がきれいな数字になるか」「条件不足による『解なし』のリスクはないか」を計算しながら、数値を慎重に設定します。
・ダミー選択肢(誤答)の設計: ここがプロの腕の見せ所です。正解以外の選択肢を適当に作ることはありません。「よくある計算ミス」「用語の混同」など、受験生が陥りやすい間違いをあえて配置します。これにより、当てずっぽうではない「真の実力」を測ることができます。
【STEP 3】校正・ブラッシュアップ

作問者が書いた原稿が、そのまま完成品になることはまずありません。 ここからが最も長く、険しい道のりです。「初稿・2校・3校・念校」と段階を分け、何度も何度もチェックを繰り返すことで精度を高めていきます。
・初稿チェック(解き・検証): 作問者とは別のスタッフが、受験生と同じ条件で問題を解きます。「本当に解けるか」「解答に誤りはないか」「難易度は適切か」を検証します。
・2校(ブラッシュアップ): 初稿での検証結果をもとに、問題を磨き上げます。「別解(想定外の正解)が存在しないか」「問題文の日本語に解釈の揺れはないか」など、論理的な穴を徹底的に潰します。
・3校(全体調整): 問題単体だけでなく、テスト全体を通したバランスを見ます。配点は正しいか、選択肢の並び(①ばかり続いていないか等)に偏りがないかなどを調整します。
・念校(最終確認): 形式面を中心とした最終チェックです。誤字脱字、記号のミス、ページ番号などがないか、指差し確認レベルで検証し、完成度を限りなく100%に近づけます。
この「作って、解いて、直す」の往復こそが、出題ミスを防ぎ、高品質な問題を作るための生命線です。
【STEP 4】図版制作・組版・DTP

問題文が固まったら、それを試験問題としての体裁に整える「組版(DTP)」と「図版制作」を行います。ここにも受験生への配慮が詰まっています。
・専門的な図版制作: 数学の立体図形、理科の実験器具、地理の地図やグラフなど。これらは一般的なイラスト作成とは異なり、数学的な正確さや学術的な厳密さが求められます。専門チームが、数値や縮尺に矛盾のない正確な図版を作成します。
・レイアウトの配慮: 「図と問題文がページをまたがないようにする」「計算スペースを十分に確保する」など、受験生がストレスなく解答に集中できるレイアウトを調整します。
・ユニバーサルデザイン: 視認性の高い「UDフォント」の使用や、読みやすい行間の設定など、すべての受験生が公平に力を発揮できる紙面作りを心がけています。
【STEP 5】厳重なセキュリティ管理
これら全ての工程において、常に徹底されているのが「情報管理(セキュリティ)」です。
入試問題は、受験生の人生を左右する重要機密です。 制作中のデータはパスワード管理されたサーバーのみで扱われ、物理的な入退室管理がなされた部屋で作業が行われます。 試験当日に問題冊子が配布されるその瞬間まで、私たちは情報の安全を守り抜きます。
まとめ
たった1時間のテストの裏側に、これだけの工程と、多くのプロフェッショナルの技術が詰め込まれています。
それはすべて、「受験生が積み重ねてきた努力を、1点の曇りもなく正確に測るため」。
私たちエデュコンは、今日も静かに、しかし熱い想いを持って「1問」と向き合っています。 もし今後、入試問題や模試を見る機会があれば、「この問題も、こうやって作られたのかな?」と少しだけ想像していただけると嬉しいです。
この記事を書いた人 / 監修
エデュコン教材制作チーム
創業以来、500社以上の教育機関様の教材制作を支援。
入試問題の傾向分析から、最新の学習指導要領(情報Iなど)への対応まで、現場の声を反映した「使いやすく、効果の出る教材」づくりを徹底サポートしています。
教育・IT・編集のプロフェッショナルが集まる専門チームが記事を監修しています。


















