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入試問題制作・検証コラム

入試問題作成は「内製」か「外注」か? 担当者が知っておくべき5つの比較基準(コスト・品質・セキュリティ・リスク・労務)

働き方改革と入試の板挟み
「来年度から、教員の残業時間を月45時間以内に抑えなければならない」 多くの学校現場で、働き方改革関連法の遵守が急務となっています。しかし、現実はどうでしょうか。 秋から冬にかけての入試シーズン、先生方は授業や部活動に加え、入試問題の作成、点検、印刷所との校正作業に追われ、休日出勤や深夜残業が常態化しています。

「法律を守れと言われても、入試がある限り物理的に無理だ」 これが現場の本音ではないでしょうか。

「先生が作るべき」という神話と現実
長らく日本の教育界では、「入試問題は自校の教員が汗水を垂らして手作りするものだ」という不文律がありました。入試は学校の顔であり、教育の魂であるという考え方は尊いものです。 しかし、教育内容の高度化、入試方式の多様化(思考力入試や英語4技能など)、そして社会からのコンプライアンス要求の高まりにより、もはや一学校の教員リソースだけで、高品質かつミスのない入試問題を作り続けることは限界を迎えつつあります。

この記事では、入試業務の「内製(自校作成)」と「外注(アウトソーシング)」をフラットな視点で徹底比較し、貴校にとって最適な選択をするための判断材料を提供します。

【現状分析】入試問題作成における「内製(自校作成)」の功罪

【現状分析】入試問題作成における「内製(自校作成)」の功罪

まずは、現状多くの学校で行われている「内製」について、そのメリットと、見過ごされがちなリスクを整理します。

内製のメリット:学校のDNAを反映できる

内製の最大の強みは、普段生徒を教えている教員自身が作るため、「自校の生徒に解かせたい問題」や「入学後に求められる学力水準」を肌感覚で理解している点です。 「この単元は重点的に教えたから出題したい」「うちは記述力を重視したい」といった、学校独自の教育DNAや「想い」を問題に反映させやすいのは、間違いなく内製の利点です。

内製のデメリット:見えないコストと属人化のリスク

一方で、内製には経営的なデメリットが存在します。 一つは「見えないコスト」です。外部への支払いは発生しませんが、教員1人が入試作成に費やす時間は、構想・執筆・会議・検証を含めると、1教科あたり年間100時間を超えることも珍しくありません。時給換算すれば、1教科あたり数十万円の人件費が投下されている計算になります。

もう一つは「属人化」です。「数学の入試はベテランのA先生しか作れない」という状況はリスクです。A先生が退職や病欠をした瞬間、入試の品質が維持できなくなるからです。

構造的な限界:心理的バイアスとミスの温床

さらに深刻なのは、内製には「ミスの発見」において構造的な限界があることです。 作問者も点検者も、その教科のプロであり、かつ同僚です。「あうんの呼吸」で通じてしまうため、問題文の条件不足や、初見の受験生が陥る誤読の可能性に気づきにくくなります。

これを心理学で「正常性バイアス」や「知識の呪縛」と呼びます。内製にこだわる限り、どれだけチェック回数を増やしても、この「身内バイアス」による出題ミスをゼロにすることは困難なのです。

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【解決策】入試問題作成における「外注(アウトソーシング)」の真実

【解決策】入試問題作成における「外注(アウトソーシング)」の真実

では、外部委託(アウトソーシング)にはどのような特徴があるのでしょうか。

外注のメリット:プロ品質とリスクヘッジ

最大のメリットは、教員の能力に依存しない「品質の標準化」と、組織的な「リスク管理」が可能になる点です。

例えば、入試専門会社のエデュコンでは、作問担当者とは別の専門スタッフが、予備知識ゼロの状態で問題を解く「ブラインド解答(試答)」を実施します。これにより、「解いて初めて分かる論理の破綻」や「難易度のズレ」を客観的にあぶり出すことができます。

また、検証プロセスにおいては「赤(致命的な誤り)」「青(改善提案)」「黒(検証の痕跡)」という厳格なルールに基づき、すべての文字と数式をチェックした物理的な記録を残します。 「プロの第三者機関が監査し、問題なしと判断した」という事実は、万が一の際の学校を守る強力な防波堤(リスクヘッジ)となります。

外注のデメリット:コスト感とコミュニケーション

デメリットは、やはり「コスト感」です。見積書として金額が可視化されるため、経営層からは「高い」と言われがちです。しかし、これは前述の「教員の見えない人件費」や「リスク対応コスト」と比較して判断すべきです。

また、「学校のカラー」を伝えるためのコミュニケーションコストも発生します。丸投げするのではなく、「過去問のこの傾向を踏襲してほしい」といった明確な指示(仕様策定)が必要になります。

外注できる範囲:作問から検証、著作権、DTPまで

「外注」といっても、全てを依頼する必要はありません。必要な機能だけをアラカルトで選ぶことが可能です。

・作問: 仕様に基づき、ゼロから問題を作成します。
・検証・査読: 先生方が作成した原稿を、プロの目でチェック・ブラッシュアップします。
・著作権処理: 権利者への許諾申請から使用料の支払いまで、煩雑な事務作業を代行します。
・組版・DTP: ユニバーサルデザインフォント(UDフォント)等を使用し、読みやすく美しい紙面に仕上げます。
・リスニング制作: スタジオでの収録により、クリアで公平な音源を提供します。

徹底比較! 判断を下すための「5つの基準」

徹底比較! 判断を下すための「5つの基準」

内製と外注、どちらを選ぶべきか。意思決定のために必要な5つの比較基準を提示します。

【基準1:コスト】「タダ」ではない教員の人件費 vs 外注費

・内製: 見かけ上の支出は0円ですが、実際には「時給4,000円×100時間=40万円/教科」といった人件費(固定費)を消費しています。

・外注: 費用は発生しますが、「必要な時だけ発生する変動費」です。採用コストや設備費を含めたトータルコストで見れば、外注の方が安くなるケースが大半です。

【基準2:品質】「先生の想い」 vs 「客観的な測定指標」

・内製: 担当教員の「好み」やその年の「熱量」に左右され、難易度が乱高下しがちです。

・外注: 学習指導要領や統計データに基づき、「平均点60点」など狙った難易度に着地させるコントロール技術があります。入試を「安定した測定ツール」として機能させます。

【基準3:セキュリティ】「USBメモリ管理」 vs 「専用サーバー管理」

・内製: 個人のUSBメモリやメールでのデータ授受、職員室のプリンター利用など、性善説に頼った運用には情報漏洩リスクがつきまといます。

・外注: PマークやISMSを取得した専門業者は、暗号化された専用サーバーや、監視カメラ付きの作業室でデータを扱います。個人のリテラシーに依存しない堅牢な体制です。

【基準4:リスク管理】「個人の責任」 vs 「組織の契約」

・内製: 出題ミスが起きた際、作成した教員個人が責任を負い、精神的に追い詰められるリスクがあります。

・外注: 契約に基づき責任の所在が明確化されます。また、第三者検証を経ていること自体が、対外的な説明責任(アカウンタビリティ)を果たす根拠となります。

【基準5:労務・働き方】「残業前提」 vs 「業務の切り出し」

・内製: 入試直前期の残業は避けられず、「働き方改革」の最大の障壁となります。

・外注: 最も時間のかかる実務(作問・検証・DTP)を切り出すことで、教員の業務量を物理的に削減し、法令遵守を実現します。

第3の選択肢「ハイブリッド運用」のご提案

第3の選択肢「ハイブリッド運用」のご提案

比較の結果、「すべて外注が良い」わけでも「すべて内製が良い」わけでもないことが見えてきました。 エデュコンが推奨するのは、両者のいいとこ取りをする「ハイブリッド運用」です。

0か100かではない。「企画」は内製、「実務」は外注

学校が手放してはいけないのは、入試の「魂」にあたる部分です。

学校が握るべきコア業務(アドミッション・ポリシー)

・どんな生徒に入学してほしいか(AP策定)
・どのような能力を測りたいか(出題方針の決定)
・最終成果物が学校の意図に合っているかの確認(承認)

これらは、学校の教員にしかできない「コア業務」です。

プロに任せるべき機能業務(作問・検証・DTP)

・方針に基づいた問題作成・素材選定
・客観的な難易度の調整・ブラッシュアップ
・煩雑な著作権処理・許諾申請
・ミスのない正確な図版作成・レイアウト(DTP)
・徹底的な検証・校正

この役割分担(仕分け)を行うことで、「学校独自の味(独自性)」を残しつつ、「プロの品質と安全性」を享受し、「教員の負担」を最小化することが可能になります。

失敗しない「入試制作会社」の選び方

最後に、パートナー選びのポイントをお伝えします。

印刷会社と専門会社の違い

多くの学校が取引のある印刷会社に「ついでに」作問を依頼するケースがありますが、注意が必要です。印刷会社は「印刷のプロ」であって「教育のプロ」ではありません。 教育に特化した専門会社(エデュコン等)でなければ、学習指導要領に準拠した作問や、適切な難易度設定は期待できません。

チェックリスト:ブラインド解答、著作権処理、セキュリティ

業者選定の際は、以下の質問を投げかけてみてください。

1.「ブラインド解答(試答)」を行っていますか? 単なる文字校正ではなく、実際に問題を解いて検証する工程があるか。

2.「教科専門のスタッフ」が社内にいますか? 外部のアルバイト任せではなく、責任を持って品質管理できる社員がいるか。

3.「著作権処理」まで完結できますか? 問題を作るだけでなく、二次利用(HP公開や赤本掲載)を見据えた権利処理ができるか。

まとめ:入試業務を「作業」から「戦略」へ

入試問題作成は、長らく「教員の聖域」とされてきました。しかし、先生方が疲弊し、ミスにおびえながら行う「作業」は、本当に聖域と呼べるでしょうか。

単純作業やリスク管理はプロに任せ(外注)、先生方は「どんな生徒に来てほしいか」という議論や、「目の前の生徒への教育」に全力を注ぐ(内製)。 この「ハイブリッド運用」への転換こそが、これからの学校経営に求められる戦略的な選択です。

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この記事を書いた人 / 監修

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創業以来、500社以上の教育機関様の教材制作を支援。
入試問題の傾向分析から、最新の学習指導要領(情報Iなど)への対応まで、現場の声を反映した「使いやすく、効果の出る教材」づくりを徹底サポートしています。
教育・IT・編集のプロフェッショナルが集まる専門チームが記事を監修しています。

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