入試問題制作・検証コラム
【大学入試】「記述式・論述力」を正確に測る。総合大学の学術的威信と選抜の公平性を守る、8ヶ月間の制作戦略スケジュール
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総合大学の個別学力試験において、マークシートだけでは測れない「思考力」や「表現力」を問う記述式問題の重要性が再認識されています。しかし、高度な記述問題は、作問の難易度が高いだけでなく、採点者(教授陣)による「評価のブレ」が生じやすく、入試の公平性を揺るがすリスクを常に孕んでいます。
さらに深刻なのが、教職員の業務負担です。専門的な数式の図版作成や、公正な採点基準の策定といった実務が、教授本来の「研究・教育時間」を圧迫している現状は、日本の大学競争力低下の一因とも指摘されています。 本稿では、これらの負担を劇的に軽減しつつ、学術的な正当性と採点の客観性を両立させるための「8ヶ月間の制作・検証ロードマップ」を提示します。
総合大学の入試を阻む「3つの構造的課題」

学部の壁を超えた全学的な品質管理には、以下のハードルが存在します。
・記述式・小論文の採点ブレ
「論理性」や「独創性」を問う問題は、採点者の主観が入りやすく、公平性の担保が困難です。これを防ぐには、作問段階で精緻な「ルーブリック(評価基準表)」を作成し、誰が採点しても同じ結果になるよう標準化する必要があります。
・「見えない」著作権リスク
英語や国語で評論文や学術書を引用する場合、特に海外の権利者への許諾申請は難航しがちです。試験後の二次利用(過去問公開)ができなくなるリスクを、初期段階でどう回避するかが鍵となります。
・属人化する作問プロセス
「特定の教授しか解けない」「その先生が退官したら作れない」といった属人化は、入試の継続性を脅かします。組織的なチェック体制の構築が急務です。
【実務詳解】高度専門科目・記述式を完結させる8ヶ月スケジュール

大学入試における「8ヶ月」は、単なる制作期間ではありません。それは、幾重もの「安全装置(フェイルセーフ)」を稼働させ、入試本番でのトラブルをゼロにするための必須期間です。
【第1期:設計】APの「評価基準化」と、素材選定のリスクヘッジ(1〜2ヶ月目)
入試制作のスタートは、理念の確認と「将来のリスク」の排除から始まります。
・アドミッション・ポリシー(AP)の「作問仕様書」化
学部・学科が求める学生像(AP)を、具体的な「作問仕様書」に落とし込みます。単に「思考力を問う」という抽象的な目標ではなく、「批判的思考のどのレベルを問うか(分析・推論・評価)」や「実社会の文脈をどう再現するか」といった具体的な評価軸を設定します。共通テストとの役割分担を明確にし、記述問題で測るべき能力(論理構成力、独創性など)を定義します。
・素材文選定と「予備候補」の確保
英語長文や現代文の出典候補となる学術論文、小説、新聞記事を選定します。この段階では情報漏洩を防ぐため、権利者への接触は一切行いません。
リスク回避の選定眼: 将来的に「過去問題集」や「Webサイト」で公開(二次利用)することを前提に、許諾が得られやすいと推測される出典(大手出版社の学術書や、連絡先が明確な著作者)を優先的に候補とします。
予備問題の準備: 万が一、試験後の交渉で二次利用が拒否された場合に備え、出典の差し替えが可能な「予備候補」も必ず選定しておきます。
【第2期:創造】「評価のブレ」をなくすルーブリック作成と専門執筆(3〜4ヶ月目)
大学入試に求められる高度な専門性と、入試としての絶対的な公平性を両立させるフェーズです。
・専門有識者による「学術的」な執筆
理学、工学、医学、法学、文学など、各学部の専門領域に精通したスタッフが執筆を担当します。高校の学習指導要領を遵守しつつも、大学教育への接続(高大接続)を意識したアカデミックな問いを設計します。
・精緻な採点基準(ルーブリック)の設計
記述式問題の最大のリスクである「採点者(教員)による評価ブレ」をなくすため、作問とセットで詳細なルーブリックを作成します。
基準の構造化: 単なる模範解答だけでなく、「論理構成(主張→根拠→結論)が整っていれば2点」、「変数の定義(vを速度とする等)がなければマイナス1点」、「必要十分条件の確認がなければ減点」といった加点・減点要素を細分化します。
採点シミュレーション: 想定される「誤答例」や「部分点を与えるべき境界線」を明文化し、誰が採点しても同じ結果になる客観的な基準を作り上げます。
【第3期:技術】特殊組版による「視覚的公平性」と学術表現の適正化(5〜6ヶ月目)
手書き原稿やWordでは再現できない「印刷品質」へとデータを昇華させ、受験生が解答しやすい環境を整えます。
・学術的なDTP組版(InDesign/LaTeX)
大学入試特有の複雑な表記を、プロの組版技術で正確にレイアウトします。
数式・化学式: LaTeX等を用い、積分記号の形状や化学構造式の結合手の長さまで、学術的に正しい国際標準の表記で組版します。
図版のトレース: 物理の実験図や生物の解剖図、グラフの軸などを、教科書の描画ルールに則って正確に作図し、線の太さやフォントサイズを調整して視認性を高めます。
・ネイティブによる学術表現チェック
英語の設問文や長文の改変箇所について、ネイティブスピーカーがチェックを行います。文法的な正しさだけでなく、「学術的な文脈(Academic Tone)として自然か」「論理展開に飛躍がないか」を検証し、大学入試としてふさわしい格調高い英文を完成させます。
【第4期:監査】「ブラインド解答」と3色ペンによる徹底検証(7ヶ月目)
エデュコンの品質保証の中核をなす、最も厳格な検証フェーズです。ここでは「作問者の意図」ではなく「受験生に見えている事実」のみを検証します。
・完全ブラインドでの「再解答」検証
作問プロセスを一切知らない、当該科目の専門家2〜3名が、受験生と同じ「予備知識ゼロ」の状態で問題を解きます(素読みではありません)。これにより、作問者の思い込みによる論理の飛躍や、条件不足、解釈の多義性をあぶり出します。
・ルーブリックの実効性テスト
ブラインド解答者が作成した答案を、別の担当者が「作成されたルーブリック」に基づいて採点します。これにより、「基準が曖昧で点数が決まらない」「想定外の別解が出た場合の処理が決まっていない」といったルーブリック自体の欠陥を修正します。
・「3色ペン」ルールによる検証報告書の作成
検証結果は、以下の厳格なルールに基づいて記録・報告され、修正の履歴を完全に残します。
赤色(致命的エラー): 「正解が存在しない」「正解が複数ある」「数値設定に矛盾がある」など、入試不成立につながるミスを指摘します。
青色(品質改善): 「誘導が不親切」「高校の履修範囲を逸脱している」「日本語として読みづらい」など、より良問にするための改善提案を行います。
黒色(検証の証跡): 指摘がない箇所にもチェックマークや検証の痕跡を残し、「全ての文字と図版を目視確認した」ことを物理的に証明します。
【第5期:完遂】物理的セキュリティによる納品(8ヶ月目)
完成した「知の結晶」を、漏洩リスクから守り抜いて大学へ引き渡します。
・原則「手交」による物理納品
インターネット経由でのデータ送付は、ハッキングや誤送信のリスクがあるため原則行いません。エデュコンの担当者が、セキュリティ完備の社内保管庫からデータまたは版下を取り出し、貴学の入試課まで直接お伺いして手渡し(手交)いたします。
印刷・封入工程への立ち会い(オプション)
ご要望に応じ、提携するセキュリティ印刷所での印刷立ち会いや、問題冊子の封入・梱包作業への立ち会いも実施します。最後の1部が封印される瞬間まで、プロの目が監視を続けます。
【入試後:事後戦略】著作権調査と二次利用の手続き
試験が無事に終了した直後から、次年度の広報に向けた「権利処理」がスタートします。ここが「エデュコン」を利用する最大のメリットの一つです。
・著作権調査と利用許諾申請の代行
試験問題として使用した文章や図版について、著作権法上の「二次利用(過去問集の配布、Web掲載、オープンキャンパスでの配布など)」に必要な許諾申請を行います。
著作者へのコンタクト: 国内外の出版社やエージェントを通じ、正式な許諾を得ます。
使用料の交渉: 予算内で収まるよう、適切な使用料の交渉や支払い代行を行います。
・不許諾時の対応(マスキング処理)
万が一、著作者から二次利用の許諾が得られなかった場合(著作権保護の観点や著作者の意向など)、該当箇所を黒塗りにする「マスキング処理」や、引用部分を要約に差し替えるなどの代替案を提示し、法的にクリーンな状態で過去問を公開できるようサポートします。
総合大学がエデュコンを選ぶ「ガバナンス」上の理由
大学入試においては、問題の質に加え、制作プロセスの透明性と管理体制(ガバナンス)が問われます。
・ブラックボックスの解消
「特定の教授しか解けない/作れない」という属人化を排除し、組織として品質を管理できる体制を構築します。
・全学的なセキュリティ統一
学部ごとにバラバラだった管理体制を、エデュコンの「社内専用ルーム・PC持ち込み禁止・鍵付き保管」という高水準なセキュリティ基準に統一できます。
・事後分析によるAPの検証
入試結果のデータを分析し、作成した問題が適切に学力を測れていたかを検証・報告します。これが次年度のAP見直しや高大接続改革の基礎資料となります。
結論:教職員を「研究と教育」へ還すために
大学入試問題の制作は、大学の威信をかけた重要な業務ですが、それによって教員の本来業務である「研究・教育」が長期間犠牲になることは、大学競争力の低下につながりかねません。
記述式問題のルーブリック作成や、煩雑な著作権処理、厳密な検証作業をプロフェッショナルに外部委託することは、入試の質を高めるだけでなく、大学全体の知的生産性を守るための合理的な経営判断です。エデュコンは、貴学の学術的信頼を支えるインフラとして、最高品質の入試制作をお約束します。
株式会社エデュコン
【総合パンフレット】のご案内
デジタル教育コンテンツの市場拡大における取り組みや、エデュコンのビジネスモデル・事業領域などをまとめたパンフレットをダウンロードいただけます。

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