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コラム

学校の生成AI活用、国はどこまで進んだ?──文科省ガイドラインとパイロット校の最新動向(2026年6月)

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2026年6月、中央教育審議会の会議で、学校教育における生成AIの活用について「これまでの取組と今後の方向性」をまとめた資料が示されました。ここ数年で急速に広がった学校現場の生成AI活用について、国がどんな考え方で、どこまで進めてきたのかが一望できる内容です。本コラムでは、その全体像をやさしく整理したうえで、教材・問題づくりの現場から見た論点まで掘り下げます。

いま学校で何が起きているのか

まずは、この数年の流れを振り返ります。

数年で一気に広がった生成AIの活用

学校での生成AIをめぐる動きは、2022年11月にChatGPTが公表されて以降、急速に進みました。国は2023年7月に暫定的なガイドラインを示し、2024年12月にはこれを改訂(Ver.2.0)。あわせて、実際に生成AIを使ってみる「生成AIパイロット校」を、令和6年度の66校から令和7年度には562校へと大きく増やしています。試行錯誤の段階から、全国に事例を広げる段階へと移りつつあります。

2026年6月、「これまでと今後」を整理

今回示された資料は、こうした取組を振り返り、今後の方向性を整理したものです。教職員や教育委員会が主な読み手ですが、生成AIが子どもたちの学びや学校の仕事をどう変えつつあるのかを知るうえで、保護者や教育関係者にとっても参考になります。

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国の考え方──生成AIガイドライン(Ver.2.0)

学校での生成AI活用の土台になっているのが、「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」です。2024年12月に改訂されました。難しく見えますが、大切な考え方はシンプルです。

人間中心の利活用

ガイドラインが最初に掲げるのが「人間中心」という考え方です。生成AIは便利な道具になり得るものの、その出力はあくまで参考の一つ。リスクや懸念を踏まえたうえで、最後に判断し、責任を持つのは人間だ――という姿勢です。学びの専門職である教師の役割は、むしろいっそう重要になるとされています。

情報活用能力を育てる

もう一つの柱が「情報活用能力の育成強化」です。生成AIの仕組みを理解し、学びに生かす視点を持つこと。近い将来AIを使いこなすための力を、各教科の学びの中で意識的に育てていくことが求められています。「AIそのものを学ぶ」「使い方を学ぶ」「各教科の学びで使う」という場面を組み合わせる考え方が示されています。

安全性・著作権・公平性・透明性

そして、どの場面でも共通して押さえるべき点として、安全性を考慮した適正な利用、情報セキュリティの確保、個人情報・プライバシー・著作権の保護、公平性の確保、透明性の確保と説明責任が挙げられています。便利さと同時に、守るべき一線を明確にしているのが特徴です。

どこまで広がった?──パイロット校と校務の数字

方針だけでなく、実際の広がりも数字で示されています。

全国のパイロット校

令和8年度の生成AIパイロット校は、目的別に3つの区分で指定されています。児童生徒の学習での活用を探る「教育利用」、教職員の校務での活用を探る「校務利用」、そしてAIを含む情報活用能力を育てる教材を検証する「教材実証」です。重複を除くと、全国149自治体・478校にのぼります。ここで生まれた事例や課題が、全国に共有されていきます。

校務活用の急拡大と、働き方改善「98%」

数字で目を引くのが、校務での活用の広がりです。「生成AIを全く活用していない」と答えた学校の割合は、令和5年度の76.7%から、令和6年度58.9%、令和7年度には16.3%へと大きく下がりました。わずか2年で、多くの学校が何らかの形で使い始めたことになります。さらに、教職員の半数以上が活用した学校では、その98%が「働き方の改善に効果があった」と実感していると報告されています。取組はまだ道半ばですが、手応えははっきりと表れています。

学びの現場の事例

生成AIは、子どもたちの学びの場面でも使われ始めています。パイロット校からは、教科を越えて多様な実践が生まれています。

小学校から高校まで

小学校では、生成AIで作った記事と実際の記事を見比べ、「情報をすぐに信じず、いろいろな資料や自分の経験と照らして考える」ことの大切さを学ぶ授業が行われました。中学校では、英語で憧れの人物を紹介する活動でAIに英作文を確認したり、国語の話し合いでAIから別の視点を得て考えを深めたりしています。高校の情報科では、Pythonでアプリを作る際に、プロンプトを工夫しながらAIにコードの例を出してもらう実践もありました。

「AIを学ぶ」という情報モラル教育

こうした事例に共通するのは、AIに答えを出させて終わりにしない姿勢です。AIの答えを鵜呑みにせず、確かめ、自分で考える――生成AIそのものを題材に、情報モラルや情報活用能力を育てる場面として位置づけられています。

校務の効率化と「セキュアな環境」

生成AIの活用は、先生方の仕事(校務)の負担軽減にもつながっています。

広がる校務の活用事例

たとえば、学校ホームページの記事作成にAIを活用して負担を減らし、記事数を活用前の2.3倍に増やした学校。制約条件を踏まえて週ごとの時間割を作成した学校。毎時間のミニテスト作成を自動化し、選択問題や記述問題など多様な形式を出力した学校もあります。ほかにも、学級通信の翻訳や、指導案のブラッシュアップなど、日々の業務のさまざまな場面で使われ始めています。

重要な情報を扱うための「セキュアな環境」へ

一方で課題も見えてきました。一般向けの汎用的な生成AIサービスは、成績のような重要性の高い情報をそのまま入力できないため、校務での活用に限界があります。そこで国は、セキュリティが確保された環境(データレイクなど)を整え、校務支援システムに蓄積されたデータと組み合わせて生成AIを使う実証にも取り組んでいます。単なる効率化にとどまらず、業務の「質の高度化」まで見据えた動きです。

教材・問題づくりの視点から

私たち教材・問題制作の現場にとっても、この動きは他人事ではありません。

「教材実証」という区分が置かれた意味

パイロット校の区分に「教材実証」が明確に置かれたことは、象徴的です。AIを含む情報活用能力を育てる教材を、実際の授業で検証していく――教材づくりが、これからの学びを支える重要な役割を担うことを示しています。ミニテストの自動作成や、一人ひとりに合わせた教材の生成など、AIと教材・問題づくりの接点は確実に広がっています。

AIは道具、品質と著作権は人が担保する

同時に、ガイドラインが掲げる「人間中心」「著作権の保護」「公平性」という原則は、そのまま教材・問題づくりの基本と重なります。AIが下書きや案を出せるようになっても、測りたい力を公平に問えているか、著作権や事実関係に問題はないか、誤りはないか――そうした品質と妥当性を最終的に担保するのは人間の仕事です。便利な道具を生かしつつ、人の目による検証を欠かさないことが、信頼される教材・問題につながります。

個別最適な教材への期待

国は、AIを活用した英語教育のモデル校を約200校指定するなど、一人ひとりの興味・関心を踏まえた「個別最適な教材生成」にも取り組もうとしています。家庭学習での活用も視野に入っており、教材のあり方そのものが問い直される時代に入りつつあります。

家庭・学校でできること

AIを「使う力」と「学ぶ」姿勢を両輪で

これからの子どもたちに求められるのは、AIを避けることではなく、上手に付き合う力です。家庭でも、AIの答えをそのまま写すのではなく、「なぜそうなるのか」「本当に正しいか」を一緒に考える習慣が、情報活用能力の土台になります。

鵜呑みにしない、確かめる

生成AIは、もっともらしい誤りを返すことがあります。得られた答えを、別の資料や自分の経験と照らして確かめる――この基本姿勢は、AI時代の学びでいっそう大切になります。学校の授業でも、まさにこの力が育てられ始めています。

よくある質問(FAQ)

学校で生成AIを使ってよいのですか?

国はガイドライン(Ver.2.0)を示し、リスクに配慮したうえでの適切な利活用を認めています。一律に禁止するのではなく、発達の段階や場面に応じて、安全性・著作権・公平性などに留意しながら使うという考え方です。

生成AIで子どもが考えなくなりませんか?

ガイドラインは「人間中心」を掲げ、AIの出力は参考の一つとし、最後は人が判断することを重視しています。学校の事例でも、AIの答えを確かめ、自分で考える姿勢を育てる使い方が中心です。

教材や問題づくりにもAIが使われるのですか?

はい。パイロット校には「教材実証」の区分が置かれ、ミニテストの自動作成や個別最適な教材生成などの取組が進んでいます。ただし、品質や著作権、公平性を最終的に担保するのは人の役割です。

まとめ

2026年6月に示された資料は、学校での生成AI活用が「試す段階」から「広げ、質を高める段階」へと進んでいることを物語っています。人間中心、情報活用能力、そして安全性・著作権・公平性――国が示す原則は、そのまま教材・問題づくりの基本にも通じます。AIという新しい道具を生かしつつ、最後は人が品質と学びの質を担保する。エデュコンは、この考え方を大切に、これからの学びを支える教材づくりに取り組んでいきます。

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この記事を書いた人 / 監修

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