共通テスト「歴史総合・日本史探究」令和8年度の評価──新課程の探究と、初見資料を読み解く力
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令和8年度(2026年1月実施)の大学入学共通テスト「歴史総合・日本史探究」について、大学入試センターの問題評価・分析委員会報告書が公開されました。新しい学習指導要領(新課程)に対応した科目として2回目の実施で、初めて見る資料を読み解く力や、探究的な学習を想定した出題が特徴です。本コラムでは、その出題の特徴を大問ごとに掘り下げ、評価のポイントと、受験生・家庭でできる対策を整理します(報告書のしくみ自体は別コラム「共通テストの問題評価・分析委員会報告書とは」で解説しています)。
令和8年度「歴史総合・日本史探究」の全体像

まずは、この科目がどんな試験だったかを概観します。
新課程の新科目、受験者数と平均点
「歴史総合・日本史探究」は、新課程で再編された科目です。本試験は約12万4千人が受験し、平均点は62.29点でした。60分の試験時間に対して大問6つ、小問はおよそ34問という構成で、知識・技能に加えて思考力・判断力・表現力をバランスよく問う良問が多く、受験者にとって取り組みやすい問題だったと評価されています。
「歴史総合」と「日本史探究」
この科目は、近現代を世界とのつながりの中で広く捉える「歴史総合」と、日本の歴史を多面的・多角的に考察する「日本史探究」から成ります。歴史総合では災害に関わる歴史的事象を多様な資料から考察する出題が、日本史探究では各時代を通観し、概念を活用して考える出題が見られました。
初見の資料を読み解く力

この科目で一貫して問われているのが、初めて見る資料を、知識と結びつけて読み解く力です。
知識と資料を結びつける
出題では、受験者にとって初見と思われる資料を読み取り、そこから得た情報を知識と関連づけながら検証・考察する力が求められました。単に年号や用語を覚えているかではなく、資料が何を語っているかを読み取り、学んだ知識と照らして判断する――そうした思考の過程が重視されています。
多様な資料、その多くは現代語訳
題材となった資料は、文字史料だけでなく、絵画、表、パネル、概念図、復元図など多種多様でした。文字史料は7点のうち5点に現代語訳が添えられ(原文のものは前年より減少)、難解な原文の解読そのものではなく、内容を踏まえて歴史的に考える設計です。資料の量・質ともに充実していたと評価されています。
探究の場面で問う、新しい出題
探究的な学習を想定した設問
設問の多くが、高校生の具体的な学習活動の場面に置かれていました。生徒が図を見て仮説を立てる、調べた内容を考察する、歴史資料の保全活動を扱う、女性の政治への関与を題材にする――こうした探究的な学びや現代的な課題につながる設定が、随所に見られます。歴史を「覚えるもの」から「考えるもの」へと広げる方向性が表れています。
連動型の設問が初登場
今回、複数の解答が連動する設問が、この科目で初めて出題されました。古代の政治の転換の契機を一つ選び、それがなぜ転換の契機といえるのかを答えるといった形式です。出来事を選ぶだけでなく、その理由まで筋道立てて説明する――探究の過程そのものを問う、新しい試みといえます。
大問別に見る出題
古代〜中世(漁業・絵画資料・女性と政治)
第2問は日本の漁業の歴史を題材に、縄文時代から近世までの社会・経済を扱いました。第3問は絵画資料の読み取りを通して飛鳥〜平安時代の政治・文化を問い、ここで連動型の設問が登場します。第4問は北条政子・日野富子・八条院など、中世の女性と政治をテーマに、複数の資料から歴史的評価の変化を読み取る設問が並びました。
近世〜近現代(城郭・政治リーダーシップ)
第5問は近世の城郭をめぐる調べ学習を題材に、安土桃山〜江戸時代の政治・社会・文化を出題。第6問は近現代の政治的リーダーシップを軸に、PKO協力法の成立や高度経済成長期、原敬日記などを扱い、明治期から平成期までを通観する内容でした。幅広い時代と多様な資料が、一貫して「読み取り+知識」で問われています。
評価のポイントと課題
良問が多いと評価
全体として、知識・技能と思考力・判断力・表現力をバランスよく発揮させる良問が多く、受験者にとって解答しやすい問題だったと評価されました。資料の現代語訳や注釈などの配慮も、平均点を支える一因とされています。
探究的な設問は難度が高め
一方で、探究的・連動的な設問の中には、正答率が3割前後にとどまるものもありました。現代語訳された資料を用いた設問では正答率が8割を超えるものもあり、やさしい設問から手応えのある設問まで、難易の幅が設けられています。新しい問い方ほど、設問の意図を読み取れたかどうかが差につながったといえます。
課題は「文字量」と「時間」、そして形式
丁寧な資料の説明は受験者の助けになる反面、全体の文字量が増えると解答時間の負担も増します。資料の情報量を精査し、受験者が時間的な余裕をもって解けるようにしてほしいという声が示されました。また、探究的な形式を取り入れることは歓迎されつつも、形式が先立って求める力が後追いにならないよう、という指摘もありました。
受験生・家庭でできる対策
暗記に「資料を読む練習」を足す
用語や年号の暗記は土台として大切ですが、それだけでは足りません。資料集の図版や史料を見て、「ここから何が読み取れるか」を言葉にする練習を重ねると、初見の資料にも対応しやすくなります。
「なぜ」を考える歴史学習
出来事を覚えるだけでなく、「なぜそれが起きたのか」「なぜ転換点といえるのか」を考える習慣が、連動型の設問や探究的な出題に効いてきます。教科書を読むときも、因果関係を自分の言葉で説明してみるとよいでしょう。
現代とのつながりを意識する
災害、女性の社会参画など、現代的な課題につながる題材が増えています。歴史を今の社会と結びつけて捉える視点を持つことが、出題の意図に沿った学びになります。
時間内に資料を処理する練習
文字量の多い試験では、限られた時間で資料を読み、知識と結びつける処理の速さも問われます。過去問や模試を本番の60分で解き、資料の要点を素早くつかむ感覚を養っておくと安心です。
まとめ
令和8年度の共通テスト「歴史総合・日本史探究」は、初めて見る資料を知識と結びつけて考える力や、探究的な学習を想定した出題が中心で、良問が多いと評価されました。連動型の設問という新しい試みも登場しています。一方で、文字量と解答時間のバランスは今後の課題です。対策の軸は、暗記に「資料を読む力」と「なぜを考える力」を足し、時間内に処理する感覚を養うこと。エデュコンは、こうした探究的な学びを支える教材づくりに取り組んでいきます。
この記事を書いた人 / 監修
エデュコン教材制作チーム
創業以来、500社以上の教育機関様の教材制作を支援。
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