共通テスト「数学」令和8年度の評価──全範囲からバランスよく、考える過程を問う
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令和8年度(2026年1月実施)の大学入学共通テスト「数学」について、大学入試センターの問題評価・分析委員会報告書が公開されました。数学Ⅰ・数学A、数学Ⅱ・数学B・数学Cともに、全範囲からバランスよく出題され、適切と評価されています。本コラムでは、出題の特徴を分野ごとに掘り下げ、評価のポイントと、受験生・家庭でできる対策を整理します(報告書のしくみ自体は別コラム「共通テストの問題評価・分析委員会報告書とは」で解説しています)。
令和8年度「数学」の全体像

まずは、今回の数学がどんな試験だったかを概観します。
出題された科目
共通テストの数学は、「数学Ⅰ・数学A」「数学Ⅰ」「数学Ⅱ・数学B・数学C」といった区分で出題されます。いずれも学習指導要領の範囲内から、特定の分野に偏ることなく出題され、高等学校で学ぶ基礎的・基本的な事項を適切に問う内容だったと評価されました。
「適切」と評価された出題
報告書では、問うべき資質・能力のバランスがとれており、思考力・判断力・表現力に焦点を当てた問題として評価できる、と総括されています。難易度や分量についても大きな偏りはなく、安定した出題だったといえます。
問われたのは「考える過程」

数学で重視されているのは、答えにたどり着く速さよりも、考え方そのものです。
処理する力に加え、見いだし・振り返る力
報告書は、数学的に処理する力だけでなく、事象を数理的に捉える力、問題を見いだす力、解決の見通しをもつ力、解決の過程を振り返って結果を意味づける力、さらに統合的・発展的に考える力までがバランスよく問われた、と評価しています。公式を当てはめて計算するだけでは届かない、思考の過程を大切にする設計です。
日常や社会を題材にしたデータの活用
題材には、日常や社会の事象が積極的に取り入れられました。数学Ⅰ・Aでは、水泳の記録を扱って散布図や相関係数、外れ値、箱ひげ図から考えるデータの分析や、対戦形式で特定の一人が優勝する確率を求める問題などです。数学を抽象的な記号の操作として閉じるのではなく、現実の場面と結びつけて考えさせる出題が見られました。
新課程で重視される分野
新課程の数学では、これまで以上に重視されるようになった分野があります。令和8年度の出題でも、その姿勢がはっきりと表れました。
統計的な推測(仮説検定)
数学Ⅱ・B・Cの第5問では、統計的な推測が出題されました。正規分布に従う確率変数を標準正規分布に変換する基本から、ある地域の資格試験の合格率が一定の水準より高いといえるかを、有意水準5%で仮説検定によって検証する設問までが扱われています。社会の事象をデータで捉え、結論を導いて意味づける――まさに新課程が重視する力です。
複素数平面・ベクトル
同じく数学Ⅱ・B・Cでは、複素数の絶対値や四則演算、極形式での表現、複素数平面上に描く図形を考察する問題(第7問)や、位置ベクトルを用いて点の存在範囲を考える問題(第6問)も出題されました。これらは新課程の数学Cで学ぶ内容で、図形的・幾何的なイメージと数式の操作を結びつける力が問われています。
大問別に見る出題の広がり
数学Ⅰ・A
数と式(集合の記号を用いた自然数の性質)、図形と計量(四角形や円と接線)、2次関数、データの分析(水泳の記録)、図形の性質(三角錐)、場合の数と確率(リーグ戦)など、全範囲から偏りなく出題されました。基本的な知識・技能を問う設問と、思考力・判断力・表現力に焦点を当てた設問がバランスよく配置されています。
数学Ⅱ・B・C
図形と方程式(円と領域)、三角関数(加法定理から和と積の公式を導出)、微分・積分の考え(3次関数)、数列(階差数列)、統計的な推測(仮説検定)、ベクトル、複素数平面と、こちらも幅広く出題されました。単に処理するだけでなく、解決の過程を振り返り、見いだした事柄を既習の知識と結びつけて概念を広げる力までが問われています。
評価のポイント
全範囲からバランスよく
特定の単元に偏らず、数と式、図形、関数、データの分析、確率、数列、統計的な推測、ベクトル、複素数平面まで幅広く出題されました。どの設問も学習指導要領の範囲内で、適切だったと評価されています。
思考力・判断力・表現力を重視
単純な知識や計算の正確さだけでなく、問題場面を読み取り、見通しを立て、解いた後に結果を振り返る――そうした一連の思考が問われました。これは、新課程の数学が目指す学びの方向性と一致しています。
受験生・家庭でできる対策
答えだけでなく「過程」を意識する
問題を解くときに、答えが合っているかだけでなく、「どういう見通しで解いたか」「なぜその式を立てたか」を意識することが大切です。途中の考え方を言葉や図で残す習慣が、思考力を問う出題に効いてきます。
データの分析・統計的な推測に慣れる
散布図、相関、箱ひげ図といったデータの分析や、仮説検定などの統計的な推測は、新課程で重視される分野です。表やグラフから何が読み取れるか、検定が何を確かめているのかを考える練習を重ねておくと、現実の場面を題材にした出題にも落ち着いて対応できます。
「振り返り」を学習に組み込む
解き終わった後に、「別の解き方はないか」「この結果は何を意味するか」を考えることが、統合的・発展的に考える力を育てます。間違えた問題こそ、過程をたどり直す価値があります。
まとめ
令和8年度の共通テスト「数学」は、全範囲からバランスよく出題され、計算して処理する力だけでなく、問題を見いだし、解決の過程を振り返り、発展的に考える力までが問われました。統計的な推測や複素数平面など新課程で重視される分野、日常を題材にしたデータの活用も特徴です。対策の軸は、答えだけでなく「考える過程」を大切にすること。エデュコンは、こうした思考力を育てる教材づくりに取り組んでいきます。
この記事を書いた人 / 監修
エデュコン教材制作チーム
創業以来、500社以上の教育機関様の教材制作を支援。
教育・IT・編集のプロフェッショナルが集まる専門チームが記事を監修しています。





















