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模擬試験コラム

全国学力調査が2027年4月に全面CBTへ──サンプル問題に見る解答方式と、模試・テストづくりへの影響

2026年10月9日、文部科学省と国立教育政策研究所が、令和9年度(2027年度)全国学力・学習状況調査(以下、全国学力調査)のCBT(コンピュータを使ったテスト)サンプル問題を公開しました。2027年4月の調査から、小学校の国語・算数と中学校の国語・数学を含め、すべての教科が文部科学省のCBTシステム「MEXCBT(メクビット)」で実施されます。サンプル問題は、本番で使われる可能性のある解答方式を一通り含めてつくられています。全国の小学6年生・中学3年生が来春に向き合う「画面上の問題のかたち」の見本です。本コラムでは、サンプル問題と文部科学省の実施方針を一次資料で確認したうえで、模試や学力テストをつくる側にとって何が変わるのかを整理します。

この記事の要点

  • 2027年4月の全国学力・学習状況調査から、小学校の国語・算数と中学校の国語・数学を含むすべての教科がCBTで実施される
  • 2026年10月9日に公開されたサンプル問題の解答方式は「選ぶ・動かす・入力する」の3つで、動画・音声や紙の資料と組み合わされる
  • 測りたい力に合わせて媒体と解答方式を選ぶという考え方が読み取れる
  • 模試・学力テストのCBT化は「紙の問題を画面に移す」作業ではなく、解答方式・正答条件・画面で読む分量の設計まで作問の工程そのものが変わる

2027年度、全国学力調査はすべてCBTに

国語・算数/数学もMEXCBTで

文部科学省「今後の全国学力・学習状況調査のCBTでの実施について」(令和8年(2026年)6月改定。以下、実施方針)は、令和9年度から、小学校・中学校ともに教科調査(国語、算数・数学)と児童生徒質問調査のすべてをMEXCBTで、日程を分散して実施するとしています。主な設計は次のとおりです。

- 調査時間:小学校は国語・算数をそれぞれ45分程度、中学校は国語・数学をそれぞれ50分程度。長時間のタブレット作業を避けるため、端末を使わない時間を設けることを推奨
- 中学校の日程:2027年4月13日(火)〜16日(金)の4日間のいずれかで実施。19日(月)〜21日(水)が予備日
- 小学校の日程:2027年4月20日(火)〜23日(金)の4日間のいずれかで実施。26日(月)〜28日(水)が予備日
- 後日実施:当日や予備日に実施できなかった場合に備え、予備日の後に後日実施期間を設ける
- 問題の公表:公開問題(調査問題のうち公表されるもの)と正答例などは、各調査の予備日最終日の夕刻をめどに公表

紙の調査で続けてきた全国同日一斉の実施ではなく、令和7・8年度にCBTで行った教科と同じく、一定期間内の分散実施となります。

数年がかりの移行の締めくくり

CBT化は数年かけて段階的に進められてきました。実施方針によると、令和7年度(2025年度)に中学校理科、令和8年度(2026年度)に中学校英語がCBTになり、令和8年度からは児童質問調査もMEXCBTで行っています。令和8年度の中学校英語の結果と、IRT(項目反応理論)に基づくスコアの見方は、令和8年度 全国学力・学習状況調査の結果公表を読むで解説しました。令和9年度は、残る国語と算数・数学が加わり、全面移行となります。

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サンプル問題とは

目的は「円滑な移行」

文部科学省・国立教育政策研究所の「目的・公開日」の資料によると、サンプル問題は、児童生徒や教師が端末を使った調査に円滑に移行できるようにするためのものです。過去に出題された問題を基に作成してMEXCBTに搭載し、本番の調査問題で使用される可能性のある解答方式を一通り含めるようにした、と説明されています。本番の問題そのものではなく、解答方式に慣れるための見本という位置づけです。

公開は2段階です。第1弾は2026年10月9日公開の通常版、第2弾は2027年1月頃に公開予定の、特別な配慮を必要とする児童生徒のための問題(拡大文字問題・ルビ振り問題)です。

小・中学校の4区分、20問の構成

国立教育政策研究所のWebサイトには、MEXCBTで閲覧したときのイメージを紹介する資料(問題閲覧時の留意事項。以下、閲覧イメージ資料)、紙配付資料、正答例が掲載されています。MEXCBT上の問題番号で数えると、構成は次のとおりです。

- 小学校国語:4問(問題3・4は、印刷して配付する紙の資料を読んで答える)
- 小学校算数:6問(動画を視聴して答える問題を含む)
- 中学校国語:4問(スピーチの動画を視聴して答える問題、紙または画面の資料を読む問題を含む)
- 中学校数学:6問(数式を入力する問題、証明を完成させる問題を含む)

なお、正答例の資料では、小学校国語・中学校国語はそれぞれ3問(小問を含む)として番号が付けられています。

サンプル問題に見る解答方式

閲覧イメージ資料には、問題ごとに解答方式が注記されています。本コラムでは、それを「選ぶ」「動かす」「入力する」の3つに整理しました(資料ではドラッグも【選択】に分類されています)。これに、動画・音声や紙の資料が組み合わされています。

「選ぶ」解答方式

- 択一:4つの選択肢から1つを選ぶ(小学校国語 問題3、中学校国語 問題1・3など)
- 複数選択:5つの選択肢から2つを選ぶ(小学校国語 問題1)。2つ選ぶと「2個選択してください」の表示が緑色に変わる
- プルダウン:空欄の▼を押して開く一覧から選び、空欄を埋める(小学校国語 問題2、中学校数学 問題3)
- 図の中から選ぶ:図に示された長さや点、図形の頂点などを、図の上で直接選ぶ(小学校算数 問題3・4、中学校数学 問題2)

「動かす」解答方式

選択肢を画面上で押さえたまま所定の位置へ移す、ドラッグで答える方式です。小学校算数 問題5では、計算の記号(+−×÷)を解答欄に移します(同じ問題の別の欄はキーボードで入力します)。中学校数学 問題6では、証明の空欄に数式や「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」といった合同条件を移して、証明を完成させます。

「入力する」解答方式

- 短答:キーボード入力などで短く答える(中学校国語 問題4、中学校数学 問題1・4)
- 記述:キーボード入力などで文章や式を書く(小学校国語 問題4、中学校国語 問題2、小学校算数 問題1・2・5・6、中学校数学 問題5)

中学校数学 問題1・4では、必要に応じて数式の部品を画面上の一覧から選び、キーボード入力と組み合わせて答えます。小学校国語・中学校国語の記述では、入力した文字数が画面に表示されます。小学校算数 問題6では求め方(式や言葉)と答えを、中学校数学 問題5では文字や式を入力して説明を完成させます。

動画・音声と紙の資料

小学校算数 問題5では、画面内の動画を再生して答えます。中学校国語 問題1では、ヘッドセットやイヤホンをつけてスピーチの動画を視聴し、設問の横にある再生ボタンから該当部分を聞き直すこともできます。

紙の資料の扱いは、小学校と中学校で異なります。小学校国語の問題3・4は、教師が事前に印刷して配付した紙の資料を読んで答えます。中学校国語の問題3は、「配付資料または画面に表示されている」文章を読んで答える形式で、紙でも画面でも読めます。紙の資料は縦書き、画面の表示は横書きです。

実施方針が示すCBTの考え方

多面的に測る、技術の現状に応じて紙も組み合わせる

サンプル問題の構成は、実施方針に書かれた考え方と対応しています。実施方針は、CBT化の意義として、動画・音声などのマルチメディアやさまざまなツールを使った出題・解答により、児童生徒が身に付けた力をより多面的に測定できることを挙げています。令和9年度の中学校国語で一部に音声を活用した出題を行うとしているのも、その一環です。

同時に実施方針は、縦書き形式での出題や、長い文章・複数の資料を読み取る出題について、現在の技術状況を踏まえ、MEXCBTの機能開発のほか、一部での紙の併用やメモ用紙の用意など、デジタル以外の方法を組み合わせることも考えられるとしています。国語については、縦書き形式を引き続き出題することや、紙による追加資料を配付することなどの工夫を検討するとしています。測りたい力と現在の技術状況に合わせて、画面と紙を組み合わせる考え方です。

解答データと自動採点

実施方針は、CBT化によって解答を最初から機械可読な(コンピュータがそのまま処理できる)文字データとして集められ、小学校・中学校合わせて約200万人規模で活用できる可能性にも触れています。採点は、これまでの品質を担保できる範囲内で、従来の工程の一部に自動採点を取り入れて効率化できるとしています。

模試・テストづくりの現場から見た論点

同じ内容でも、解答方式で「測るもの」が変わる

中学校数学 問題6の証明は、空欄に数式や合同条件をドラッグして完成させる形式です。証明を一から書かせる問題と比べると、問われているのは、証明の筋道を理解して正しい要素を正しい位置に置けるかどうかです。同じ単元・同じ題材でも、選択・ドラッグ・短答・記述のどれで答えさせるかによって、測っている力は変わります。

模試や学力テストをCBTで出題する場合、紙の問題をそのまま画面に移すのではなく、その問題で何を測りたいのかを起点に、解答方式を選び直すことが、作問の最初の工程になります。

正答の条件を、入力の仕方まで決めておく

数式の部品を選んで入力する短答や、キーボードで書く記述では、同じ正答でも入力の仕方にばらつきが出ます。自動採点を取り入れるなら、どの表記を正答として認めるか、部分点をどう扱うかを、作問の段階で決めておく必要があります。紙の採点で採点者の判断に委ねていた部分を、事前にルールとして書き出す作業です。学習ログの記録まで見据えた問題データの設計は、教材が「AIに読まれるデータ」になるでも取り上げています。

画面で読む分量と、紙に残す分量

サンプル問題には、長い資料を紙で配付する問題と、画面をスクロールして読める問題の両方があります。CBTの問題では、1画面に収まる情報量、スクロールの有無、資料と設問の行き来のしやすさが、そのまま解きやすさに影響します。縦書きの長文や複数の資料のように画面では読みにくいものを紙に残すかどうかも含め、問題文や資料の分量と配置は、紙の組版とは別の観点で検討が必要です。

練習の場としての模試・テスト

サンプル問題のねらいは「円滑な移行」でした。塾や学校で実施する模試・テストでも、プルダウン・ドラッグ・数式入力といった操作に慣れる機会をつくることは、本番で力を出し切るための備えになります。CBTの普及が教材全体にもたらす変化は、CBT(コンピュータで受ける試験)が広がると、教材はどう変わる?で整理しています。

よくある質問(FAQ)

全面CBTになるのはいつからですか?

令和9年度(2027年度)の調査からです。中学校は2027年4月13日〜16日、小学校は4月20日〜23日の各4日間に分散して実施され、予備日と後日実施期間が設けられます。

サンプル問題はどこで見られますか?

学校では、MEXCBT上でサンプル問題に取り組めるように環境が整えられています。また、国立教育政策研究所のWebサイトでは、閲覧イメージ資料、紙配付資料、正答例をPDFで見ることができます。

サンプル問題と同じ問題が本番で出ますか?

サンプル問題は、過去に出題された問題を基に、本番で使用される可能性のある解答方式を一通り含めてつくられた見本です。本番の調査問題そのものではありません。

紙はまったく使わなくなるのですか?

解答は原則としてMEXCBTで行います。ただし国語では、紙による追加資料を配付することなどの工夫を検討するとされており、サンプル問題にも、印刷した資料を読んで答える問題が含まれています。また、点字については当面、紙の点字問題による実施が継続されます。

配慮が必要な児童生徒向けの問題はありますか?

拡大文字問題・ルビ振り問題のサンプルが、2027年1月頃に第2弾として公開される予定です。

まとめ

2027年4月、全国学力調査は国語と算数・数学を含めて全面的にCBTへ移行します。公開されたサンプル問題の解答方式は、選ぶ・動かす・入力するの3つで、そこに動画・音声と紙の資料が組み合わされています。そこから読み取れるのは、測りたい力に合わせて媒体と解答方式を選ぶという考え方です。

模試や学力テストをつくる側にとって、CBT化は「紙の問題を画面に移す」作業ではありません。何を測るのかを起点に解答方式を選び、正答の条件を入力の仕方まで決め、画面で読む分量を設計する。作問の工程そのものが変わります。

エデュコンは、全国学力調査の類題・学力調査問題の制作で、出題形式に沿った類題や記述式・活用型の問題、採点基準の策定を承っています。また、CBT・デジタルテスト問題制作で新規作問から既存問題のCBT化までを、模擬試験制作で企画から採点・集計までを承っています。CBT形式の問題づくりについて、お気軽にご相談ください。

なお、本コラムの内容は、文部科学省「今後の全国学力・学習状況調査のCBTでの実施について」(令和8年6月改定)、文部科学省・国立教育政策研究所「令和9年度全国学力・学習状況調査CBTサンプル問題」(目的・公開日、問題閲覧時の留意事項、正答例)に基づいています。最新の情報は文部科学省・国立教育政策研究所のWebサイトをご確認ください。

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