家庭科は小・中・高で「5領域」に再編する方向へ──中学校での独立、高校「家庭総合」の新領域で変わる次期学習指導要領の家庭科
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2026年10月5日、中央教育審議会の教育課程部会が「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」を取りまとめました。その第2部「家庭」の節は、家庭科の内容を、生活を営む「人」とその「営み方」、そして食・衣・住からなる5つの領域(高等学校「家庭総合」は6つ)に再編する方向を示しています。中学校については、総論で技術・家庭科が「情報・技術科」と「家庭科」に分かれることが示されており、家庭科として新たな目標を検討する必要があるとされました。高等学校では、「家庭基礎」と「家庭総合」の趣旨をはっきり分け、「家庭総合」に問題解決的な学習を行う新しい領域を設けることも打ち出されています。
審議まとめは2026年11月5日までパブリック・コメントにかけられている「案」の段階です。本コラムでは、家庭の節の本文に沿って、小学校・中学校・高等学校の家庭科で何が変わり、何が引き継がれるのかを整理し、教材づくりへの影響を考えます。
この記事の要点
- 2026年10月5日の審議まとめは、家庭科の領域を家族・家庭と生涯発達、生活の経営と消費生活、食生活、衣生活、住生活の5領域(高校「家庭総合」は6領域)に再編する方向を示した
- 中学校は技術・家庭科が「情報・技術科」と「家庭科」に分かれることが総論で示され、家庭の節は家庭科として新たな目標を検討する必要があるとした
- 学習内容は全体として増やさずに精選し、小・中学校の住まいの働きや家庭内事故の防ぎ方を高校へ、高校の金銭・生活時間などの生活資源を中学校へ移す例が挙げられた
- 高校「家庭総合」には問題解決的な学習を行うF領域「総合生活実践」を設け、ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動は「生活の課題と実践」(仮称)として各領域の中に位置付け直す方向
現行の家庭科の成果と、見えてきた課題
問題解決的な学習を軸にした現行の考え方
現行の学習指導要領は、自ら課題を設定して解決に取り組む問題解決的な学習を通じて「生活をよりよくしようと工夫・創造する」資質・能力を育てることをねらいとし、計画、実践、評価・改善という一連の学習過程を重視しています。審議まとめは、生活の中から問題を見いだして課題を設定して取り組む活動などの視点から授業改善が進み、解決すべき課題を設定することにも成果が見られるとしています。
課題を設定しているのが教師になっている
一方で、次のような課題が挙げられました。
- 特に小・中学校の問題解決的な学習で、教師主体の課題設定がされているなどの現状があり、問題発見・解決能力の育成に向けて一層の充実が必要
- 現行の内容「B 衣食住の生活」では、衣・食・住それぞれの学習の特質を明確にし、資質・能力の深まりの過程をより具体的に示すことが求められる
- 高等学校では、生涯の生活設計を考える学習(内容「A 家族・家庭生活」)と、将来のリスク管理に関する学習(内容「C 消費生活・環境」)が個別の指導事項になっていて、相互に関連を図った学習が行われにくい
家庭生活の変化と、生活文化の継承
少子高齢化や電子マネーの普及など、社会の変化に伴って家庭生活も変化しています。審議まとめは、児童生徒の生活の実態や発達段階に応じた内容、家庭科として本質的に重要な内容を改めて整理する必要があるとし、消費者教育や金融経済教育におけるライフステージに応じた指標と学習指導要領との整合性を、持続的に図っていく必要も挙げています。その一方で、利便性を優先した生活の普及によって失われつつある家庭・地域の生活文化の継承も念頭に置くべきだとしています。
高校の2科目の差異と、形骸化の指摘
高等学校については、「家庭基礎」と「家庭総合」の目標や学習内容に明確な差異が見いだしにくく、教科書の記述内容にも科目間で大きな差異が見られないことが指摘されました。高等学校で単独の領域になっている「ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動」は、学習が形骸化しており十分な指導が行われていないとの声もあるとしています。「家庭総合」は、複数の年次に分けて履修する場合は連続した2か年で履修することになっていて、柔軟な教育課程の編成が難しいという課題もあります。
デジタル技術の活用と、免許外教員の多さ
デジタル技術については、操作や活用そのものの習得を目的とせず、実践的・体験的な活動を通して資質・能力を育てる観点から、いかに効果的に活用するかを検討する必要があるとしています。指導体制の面では、家庭科の専門性が十分でない免許外教員が指導している割合が高く、特に中学校技術・家庭科(家庭分野)は、教科別の免許外教科担任の許可件数全体のうち約29%を占めているとしています(令和5年度調査)。
中学校は「技術・家庭科」から独立した「家庭科」へ
総論で示された「家庭科を独立の教科に」
審議まとめの第1部第7章は、情報活用能力の育成を論じるなかで、中学校の技術・家庭科に触れています。現在の技術・家庭科は、教員免許や担当教員は別なのに、評定は1つの教科として記載していることなどに伴うデメリットも大きいとして、家庭科を独立の教科としたうえで、現在の技術分野は適切な時数を確保して「情報・技術科」とすることが適当だとしました。家庭の節もこれを受けて、家庭科として新たな目標を検討する必要があると書いています。新教科「情報・技術科」の中身は、小学校「情報の領域」・中学校「情報・技術科」で何を学ぶのかで解説しています。
小学校と高等学校をつなぐ内容
家庭の節では、中学校の家庭科に、小学校と高等学校の学習をつなぐ内容を置く方向が示されています。新しいB領域「生活の経営と消費生活(仮称)」では、小学校の「家庭生活と生活の営み」と高等学校の「生涯の生活設計」をつなぐ学習内容を中学校に設けるとしました。現行の高等学校「家庭総合」で扱っている「生活の営みに必要な金銭」と「生活時間などの生活資源」も、「家庭生活と生活資源のマネジメント」として中学校で学ぶ方向です。
技術との接続と、授業時数
職業に関する教科・科目を扱った節では、中学校の「情報・技術科」や「家庭科」で、農業、工業、水産、家庭、情報などにつながる、生活や社会で活用される技術に関する学びが展開されるとし、その接続を意識することも重要だとしています。キャリア教育を扱った節でも、各教科の例示として、家庭科は結婚や子育てを含む生涯設計について職業選択やワークライフバランスなどとの関連を図りつつ見通しを持たせる、ライフキャリアに関わる教育を実践するとされています。
なお、独立後の中学校の家庭科の標準授業時数は、家庭の節には書かれていません。審議まとめ全体でも、各教科等の標準授業時数の具体的な実数は、精査したうえで適切なタイミングで示すべきだとされています。
目標と見方・考え方のあり方
生活の営みを総合的に捉え、学習対象の広がりを示す
目標については、各領域が相互に関連を図りつつ学習を展開し、生活の営みを総合的に捉えることを踏まえるとしています。「学びに向かう力」は、家庭科で育みたい情意・感性と「学びに向かう力の3要素」の構成で見直す方向です。
小・中・高等学校の系統性を明確にする方向は引き継ぎ、そのうえで空間軸・時間軸の視点から学習対象の広がりを明示するとしています。「家庭基礎」は自分の生涯や地域及び社会を学習対象とし、「家庭総合」はさらに広げて、社会などの生活を俯瞰しながら問題を捉えたり、自分の生涯のその先の世代の生活まで視野を広げたりする、という整理です。
「さらによりよくしたい」と思える判断力
実践を多角的に評価・改善することで、生活をよりよくするための適切な判断をする力を育成するとし、「家庭総合」では実践を「多角的・総合的」に評価・改善する観点を追記する方向です。
ここでいう「生活をよりよくする」について、審議まとめは注記を設けています。経済性・利便性・客観性といった外在的基準だけでなく、一人一人の価値基準に基づいて生活を見つめ直すことが重要だとし、「以前よりよくなった」という一時的な改善にとどまらず、「さらによりよくしたい」という意欲を持ち、主体的に生活の質の向上を目指す姿勢を育てる必要があるとしています。実践と振り返りを通じて、「何をよりよいとするか」という自らの価値基準そのものを見直し、広げていくことも重要だと書かれています。
見方・考え方は端的に、小・中・高で統一
新たな見方・考え方は、家庭科の本質を示す事項に焦点化して端的に示し、小・中・高等学校を通じて統一的に示す方向です。これまで見方・考え方で示していた「協力・協働」「健康・快適・安全」「生活文化の継承・創造」「持続可能な社会の構築」などは、「統合的な理解・総合的な発揮」の中で、内容に即してその要素を示すとされました。
領域を5つ(「家庭総合」は6つ)に再編する

「生活の基盤」と「生活を構成する要素」
家庭科として必要な概念の確実な習得につながるよう、領域を「生活の基盤に関する領域」と「生活を構成する要素に関する領域」の2つの観点から整理し、5領域(高等学校「家庭総合」は6領域)へと再編する方向です。
- 生活の基盤に関する領域:A 家族・家庭と生涯発達(仮称)(生活を営む主体である「人」)、B 生活の経営と消費生活(仮称)(生活を営むうえでのマネジメント)
- 生活を構成する要素に関する領域:C 食生活(仮称)、D 衣生活(仮称)、E 住生活(仮称)
- 「家庭総合」のみ:F 総合生活実践(仮称)
現行の内容「A 家族・家庭生活」が、新しいA領域とB領域に分かれる形です。B領域では生涯の生活設計と消費生活を関連付けて扱い、消費者教育や金融経済教育は、社会的関心の高まりなどを踏まえて「生活の経営」と併記する形で明示するとしています。食・衣・住の配列は、従前の順序性に加え、食育の重要性の高まりなどを踏まえて「食」「衣」「住」の順とすることが適当とされました。
並列パターンと「統合的な理解・総合的な発揮」
学習指導要領の表形式化では、家庭科は「知識及び技能」と「思考力、判断力、表現力等」を一体的に育成することが重要だとして、「並列パターン」で構造化する方向です。示し方そのものの変化は、学習指導要領が「デジタル」になるでも紹介しています。
「統合的な理解・総合的な発揮」は、新しい領域ごとに設定し、教師が題材を構想しやすい抽象度にするとしています。知識を散発的に身に付けるのではなく、学んだことを自分や家族、家庭や地域及び社会のよりよい生活の実現と結びつけて理解する姿を示し、製作や実習をただこなすのではなく、その中で問題発見・解決能力を育てる授業づくりを促すねらいです。
領域ごとの内容の見直し
A 家族・家庭と生涯発達/B 生活の経営と消費生活
A領域は「人」に特化して扱うことを明確にするため、この名称にするとしています。中学校と高等学校で重複している「家族・家庭の機能」はB領域に整理します。地域の高齢者の割合が増えている現状などを踏まえ、認知機能、身体機能、言語機能の低下や、状況に応じた関わり方の学習を中学校や高等学校で扱うこと、「家庭総合」では地域の社会課題の解決に向けて他者と協働しながら地域で実践する内容にすることも示されました。
B領域では、社会保障や奨学金などの社会制度の活用のあり方に関する学習を高等学校で扱うとしています。消費者教育や金融経済教育は、学校段階をまたいで重複する事項を整理する一方、キャッシュレス化への対応やリスク管理を踏まえた家計管理の充実など、自立した消費者の育成を目指した学習を発達段階に応じて扱う方向です。自分の生活を起点として生涯の生活に見通しを持つ導入的学習も位置付けるとしています。
C 食生活/D 衣生活
食生活では、食をめぐる生活環境が引き続き変化していることを踏まえ、生活文化の継承の観点をより重視する学習を中学校や高等学校で扱うとしています。高等学校では、「家庭基礎」は調理実習を通した理解、「家庭総合」は調理実験を通した科学的な理解を深める内容で整理する方向です。
衣生活では、布を用いた製作を、小・中・高等学校の系統性を踏まえて段階的に習得・活用する内容とする方向です。中学校の「衣服等の再利用の方法」は「衣服のライフサイクルを意識した選択・活用」の一つとして扱う方向です。高等学校では、持続可能な衣生活を営む観点や生活文化の継承の観点を重視し、「家庭総合」では被服製作を通して「ライフステージに応じた衣生活」を深い学びにつなげるとしています。
E 住生活
中学校の「家庭内の事故の防ぎ方」は、幼児・乳児・高齢者の心身や生活の特徴の学習を踏まえて扱うと効果的だとして、高等学校の「ライフステージに応じた住生活」の中で重点的に学習する方向です。中学校では、住宅の間取り図などの理解を含む住まいの空間構成を踏まえ、家全体の中で危険を見付けて対策を考え、家庭での実践を通して課題の解決を目指す学習過程を丁寧に行うとしています。「家庭総合」では、3Dにより住まいを計画する内容とする方向です。
内容の精選と、学校段階をまたぐ移管

整理にあたっての4つの基本的考え方
社会変化への対応などを踏まえて内容を充実させる際も、全体として学習内容を増加させず、一定の精選を図る観点から、次の4つの考え方で教育内容を整理するとしています。
- 家庭科の「統合的な理解・総合的な発揮」を育成するために必要な内容か
- 小・中・高等学校の各内容の枠組みと対象の系統性・体系性が明確か(校種間や科目間で重複する内容は、適切な学校種や科目に再整理)
- 社会変化への対応や生活文化の継承の観点から真に必要な内容が含まれているか
- 高等学校の「家庭基礎」「家庭総合」は、「高校家庭科の科目の考え方」を踏まえた内容か
充実させる学習としては、少子高齢化社会などを踏まえた家族・家庭のあり方、生涯を見通した生活設計のあり方、デジタル化時代における消費者教育や金融経済教育のあり方、社会変化への対応や生活文化の継承などを踏まえた食生活・衣生活・住生活の内容のあり方などが挙げられました。
精選の事例:スリム化、統合、移管
精選の事例として示されたのは次のとおりです。
- 小学校:現行の内容B(5)「生活を豊かにするための布を用いた製作」を、新領域D(2)「布を用いた製作の基礎」で「統合的な理解・総合的な発揮」を踏まえた内容に整理(中学校も新領域D(2)「生活を豊かにする布を用いた製作」で同様に整理)
- 中学校:現行の内容C(1)「金銭の管理と購入」と(2)「消費者の権利と責任」を新領域Bで整理・統合し、消費と環境を一体的に学ぶ
- 小学校の「住まいの主な働き」と中学校の「家庭内事故の防ぎ方など」を、最も効果的に概念理解ができる高等学校に移管
- 高等学校「家庭総合」の「生活の営みに必要な金銭」と「生活時間などの生活資源」を中学校に移管
- 高等学校「家庭総合」の被服材料、被服構成、被服衛生、被服管理、衣生活の自立に必要な技能を、新領域D(1)の項目「目的に応じた被服の機能と着装・管理」として整理
目標、内容、「統合的な理解・総合的な発揮」のイメージは、告示までに文部科学省で一層分かりやすいものになるよう引き続き検討すべきだとされています。
高校「家庭基礎」「家庭総合」の趣旨を分ける

2つの科目の趣旨を明確に
高等学校の2科目は、「高校家庭科の科目の考え方」として次のように整理されました。
- 家庭基礎:自らの生活を営み、家庭や地域の生活を支える力を育成する科目。科学的根拠に基づく知識を基礎的に理解し、生活上の課題を適切に捉え、改善のために判断し、実践する力を育てる
- 家庭総合:家庭基礎で培う力に加え、多面的に生活を捉え、家庭や地域の生活を向上させる力を育成する科目。領域を貫く現代的な諸課題について問題解決的な学習を通して、生活上の複合的な課題を捉え、判断し、実践する力を育てる
総論では、科目の再編や名称変更を伴う方向が示されたのは外国語科・国語科・数学科で、それ以外の科目は科目名・単位数ともに現行と同様とされています。必履修科目の減単を一定の範囲で認める一方、現行単位を前提にすれば「家庭基礎」は減単不可の科目に挙げられています。
「家庭総合」にF領域「総合生活実践」を新設
「家庭総合」には、地域の実情を踏まえた生活上の課題について問題解決的な学習を行う、F領域「総合生活実践」(仮称)を設けるとしています。「福祉」「子育て」「防災」「生活文化」「環境」等の5領域を貫くテーマの方向性を設定し、各領域(A〜E)と関連付けながら学習を展開する方向です。教師が地域の実態などを踏まえて定めたテーマの方向性をもとにホームルームでテーマを設定し、そのテーマに関する課題は生徒が自ら考えるとしています。実践を振り返って改善策を検討する段階では、共有された他の生徒の実践結果などを踏まえ、テーマについて5領域を貫いて再考し、自らの考えをまとめる場面を重視するとしています。
ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動は「生活の課題と実践」へ
「ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動」は、現行の独立した領域ではなく、中学校と同様に各領域の中に位置付ける形に見直し、名称を「生活の課題と実践」(仮称)とする方向です。探究的な学びとしての趣旨が明確になるよう、「個人探究(ホームプロジェクト)」(仮称)と「協働探究(学校家庭クラブ活動)」(仮称)とし、「家庭基礎」「家庭総合」のいずれでも実施するとしています。
履修年次の柔軟化
「家庭総合」の「連続する2か年において履修させること」という規定は見直す方向で、学習内容が隔年となっても学びに支障が生じないよう、留意事項などを国が示すとしています。令和4年度の成年年齢の引き下げに伴う「内容のCについては、原則として入学年次及びその次の年次の2か年のうちに取り上げること」という規定は、領域の見直しを踏まえてB領域(生活の経営と消費生活)として明記するとされました。
デジタル学習基盤、AI、評価──授業づくりの方向
1人1台端末を問題解決的な学習の基盤に
家庭科では、1人1台端末を問題解決的な学習の中で必要な学習基盤として位置付け、学習指導要領を見直すとしています。例に挙げられたのは、調理や製作などの実践活動の様子を動画撮影して分析する、画像などを活用して実践活動前後の様子を比較する、3Dを活用して住居の間取りを計画する、といった活用です。
AI活用については、児童生徒が自ら考え、判断し、成果物を自らの言葉で説明し、最終的には自ら責任を持つという考えのもと、教師は問題解決的な学習を展開するとともに評価方法の改善を図ることを、当面の基本的な考え方とすることが重要だとしています(各教科とAIの関係は全教科の学習指導要領に「AI」が入るを参照)。
学習評価:「見取る姿」と「◯」の付記
審議まとめ全体では、「主体的に学習に取り組む態度」を教科ごとにABCで評価する仕組みを改め、総合所見欄での個人内評価と、思考・判断・表現の評価への「◯」の付記を組み合わせる方向が示されています。家庭の節では、「学びに向かう力の3要素」(初発の思考や行動・好奇心、学びの主体的な調整のプロセス、対話や協働)を、思考・判断・表現の過程で教師が一体的に見取るとしています。
改訂後には家庭科の「見取る姿」を示すとされ、そのイメージ(具体は今後検討)として、生活をよりよくしたいという願いを持ち自分事の課題の設定につなげようとしている姿、学習したことを活用している生活場面を想起しながら改善・工夫を重ねている姿、家族や地域の人々などとの対話や協働により自分の考えや取組を多角的な視点から捉え直している姿が挙げられています。
教師の指導力向上と学習環境
教師の指導力向上は極めて重要だとして、文部科学省が教師向け動画コンテンツの作成や外部機関・外部人材の効果的な活用のあり方の提示を行うとしています。教育委員会にも、教員研修の充実と、教材整備指針などを活用した学習環境の整備が望まれるとされました。
教材づくりへの影響
学校段階をまたぐ移管に合わせて、単元を組み替える
領域を5つに再編する方向が示され、住まいの働きや家庭内事故の防ぎ方は高等学校へ、生活資源のマネジメントは中学校へと、学校段階をまたいだ内容の移動も挙げられました。現行の内容構成に沿って作られてきた教材は、新しい領域と学校段階の対応に合わせて単元の配列を見直す必要が出てきそうです。
中学校の家庭科を単独の教科として支える教材
中学校で家庭科が独立の教科となる方向であることから、教科書や副教材も、家庭科単独の構成へと見直されていくと考えられます。家庭分野は免許外教科担任の許可件数の約29%を占めるとされており、専門性が十分でない教師でも題材の流れや指導のポイントがつかめる指導資料の需要も見込まれそうです。
生活設計と消費生活をつなぐ教材
B領域では、生涯の生活設計と消費生活を関連付け、キャッシュレス化への対応、リスク管理を踏まえた家計管理、社会保障や奨学金などの社会制度の活用を扱う方向です。ライフステージに応じた指標とは持続的に整合を図るとされているため、制度や社会の変化に合わせて更新しやすい教材の設計が求められるでしょう。
問題解決的な学習を支えるワークシートと事例
児童生徒が自ら課題を設定する学習が一層重視され、高等学校では5領域を貫いて考える「総合生活実践」や「個人探究」「協働探究」が示されました。課題設定から計画、実践、評価・改善までをたどれるワークシートや、地域の生活課題を扱った事例集など、探究の過程そのものを支える教材の出番が増えると考えられます。動画による分析や3Dによる間取りの計画も、実践的・体験的な活動を充実する観点からの活用例として挙げられており、実践的・体験的な活動と組み合わせて使うデジタル教材の設計が問われそうです。
改訂までのスケジュール
審議まとめは2026年11月5日までパブリック・コメント(意見公募)にかけられ、2026年度冬頃の答申、2026年度末の小・中学校の改訂告示へと進む予定です。全面実施は小学校が2030年度、中学校が2031年度から、高等学校は2032年度入学生からの見込みです。改訂全体の日程は次期学習指導要領・教科書改訂スケジュールにまとめています。
よくある質問(FAQ)
中学校の技術・家庭科はどうなるのですか?
審議まとめの総論は、家庭科を独立の教科としたうえで、現在の技術分野は適切な時数を確保して「情報・技術科」とすることが適当だとしています。家庭の節は、これを受けて家庭科として新たな目標を検討する必要があるとしています。独立後の家庭科の標準授業時数の具体的な数は、審議まとめでは示されていません。
家庭科の領域はどう変わりますか?
「生活の基盤に関する領域」として「A 家族・家庭と生涯発達」「B 生活の経営と消費生活」、「生活を構成する要素に関する領域」として「C 食生活」「D 衣生活」「E 住生活」の5領域(いずれも仮称)に再編する方向です。高等学校「家庭総合」は、これに「F 総合生活実践」を加えた6領域とする方向です。
高校の「ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動」はなくなるのですか?
なくなるのではなく、独立した領域から各領域の中に位置付ける形に見直し、名称を「生活の課題と実践」(仮称)とする方向です。中身は「個人探究(ホームプロジェクト)」と「協働探究(学校家庭クラブ活動)」(いずれも仮称)とし、「家庭基礎」「家庭総合」のいずれでも実施するとしています。
小学校の家庭科で扱わなくなる内容はありますか?
精選の事例として、現行の小学校の内容B(6)ア(ア)「住まいの主な働き」を、最も効果的に概念理解ができる高等学校に移管することが挙げられています。布を用いた製作は、新領域D(2)「布を用いた製作の基礎」で、「統合的な理解・総合的な発揮」を踏まえた内容に整理する方向です。
いつから変わりますか?
次期学習指導要領の全面実施にあわせ、小学校は2030年度、中学校は2031年度から、高等学校は2032年度入学生からの見込みです。現在は審議まとめの段階で、2026年11月5日までのパブリック・コメントを経て、答申は2026年度冬頃、小・中学校の改訂告示は2026年度末の予定です。
まとめ
次期学習指導要領の家庭科で示されたのは、領域を組み直して、各領域で育てる力をはっきりさせる方向です。生活を営む「人」と「営み方」、食・衣・住の5つの領域に再編し、空間軸・時間軸で学習対象の広がりを示す。中学校では家庭科を独立の教科とし、小学校と高等学校をつなぐ内容を置く。内容は全体として増やさずに精選し、学校段階をまたいで移管する。高等学校では「家庭基礎」と「家庭総合」の趣旨を分け、「家庭総合」に「総合生活実践」を設け、ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動を探究的な学びとして位置付け直す──審議まとめが描いているのは、製作や実習をこなすだけでなく、自分の生活を見つめ、「さらによりよくしたい」と考え続ける家庭科です。
領域の再編や学校段階間の移管が進むほど、教材には「どの領域の、どの学校段階の学びなのか」を明確にした設計が求められます。エデュコンは、教材・テキスト制作で単元構成から執筆までを、模擬試験・テスト制作で生活の課題を考える問題づくりを承っています。小学校向け教材制作・中学校向け教材制作・高校向け教材制作のご相談も含め、次期学習指導要領に向けた家庭科教材の見直しについて、お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人 / 監修
エデュコン教材制作チーム
創業以来、500社以上の教育機関様の教材制作を支援。
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