「外来語の表記」が35年ぶりの見直しへ──文化庁の論点整理と国語世論調査から考える、教材の表記ルールの決め方
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「サステナブル」か「サステイナブル」か。「ウイルス」か「ウィルス」か。教材や教科書の原稿を揃えるとき、必ず一度は立ち止まる外来語の表記。その拠り所になってきたのが、1991年(平成3年)の内閣告示「外来語の表記」です。この告示について、文化庁の文化審議会国語分科会に設けられた外来語小委員会が、2026年4月から見直しの検討を進めています。9月18日の第4回会合では「外来語の表記に関するこれまでの論点(案)」が示され、10月23日には第5回会合が開かれます。一方、10月2日に文化庁が公表した令和7年度「国語に関する世論調査」には、8組の外来語について「どちらの書き方にするか」を尋ねた結果が載っています。1991年の制定以来、告示の本格的な見直しは初めてです。本コラムでは、これらの一次資料を読みながら、教材づくりの現場で外来語の表記ルールをどう決め、どう守るかを整理します。
この記事の要点
- 1991年の内閣告示「外来語の表記」について、文化審議会国語分科会の外来語小委員会が2026年4月から見直しの検討を始め、9月に論点整理(案)、10月23日に第5回会合を開く
- 論点は、原語の音に近づけるか日本語の音韻の範囲で書くか、「ウィ/ウイ」のような小書きの原則、「ヴ」の扱い、欧米以外の固有名詞、用例集の在り方など
- 10月2日公表の国語世論調査では、サステナブル64.5%・リファレンス62.8%・ファイナンシャル49.8%など、語ごとに揺れの大きさと年代差が異なる
- 教材づくりでは、告示を土台にシリーズごとの表記基準と用語集を持ち、揺れた語は「どちらに寄せたか」を記録して校正で揃える運用が要になる
「外来語の表記」とは何か

国語に関する5つの内閣告示の1つ
国語の書き表し方について、国は5つの内閣告示を出しています。「常用漢字表」「現代仮名遣い」「送り仮名の付け方」「ローマ字のつづり方」、そして「外来語の表記」です。外来語小委員会の第1回会合(2026年4月30日)で文化庁の担当官が説明したところによると、「外来語の表記」は昭和62年(1987年)1月から約4年の検討を経て、平成3年(1991年)に内閣告示として実施されました。「ローマ字のつづり方」は2025年に新しくなったばかりで、次に見直しの順番が回ってきたのが「外来語の表記」です。
告示の前書きには、「現代の国語を書き表すための『外来語の表記』のよりどころを示すもの」とあります。文化庁の説明では、国語施策は「こうしてください」と制限するものではなく、「よりどころ」や「目安」として緩やかな考え方を示してきたもので、「外来語の表記」もその1つです。対象は法令・公用文書・新聞・雑誌・放送など、一般の社会生活で外来語や外国の地名・人名を片仮名で書く場合です。科学・技術・芸術などの各種専門分野や個々人の表記、固有名詞などで告示によりがたいものには及ぼさないとされています。
第1表と第2表、そして「自由」
告示の本文は、2つの表と留意事項、用例集から成ります。第1表は「外来語や外国の地名・人名を書き表すのに一般的に用いる仮名」。和語・漢語を書くための100の音と撥音・促音・長音に加えて、「シェ、ジェ」「ティ、ディ」「ファ、フィ、フェ、フォ」のように、外来音として国語の中に入っていると考えられる仮名が含まれます。第2表は「原音や原つづりになるべく近く書き表そうとする場合に用いる仮名」で、「イェ」「ウィ、ウェ、ウォ」「クィ」「ツィ」「ヴァ、ヴィ、ヴ、ヴェ、ヴォ」などです。
そして本文の3には、「第1表・第2表に示す仮名で書き表せないような、特別な音の書き表し方については、ここでは取決めを行わず、自由とする」と書かれています。文化庁の担当官は第1回会合で、この点を「非常に緩やかな、弾力的なルール」と説明しています。また、告示はそれぞれの外来語について1つの書き方を定めようとするものではなく、表記のリストを作ることについては意義を十分に検討すべきだ、とも整理されています。
昭和29年の「19の原則」から
論点整理(案)によると、外来語の表記の考え方が最初に示されたのは昭和29年(1954年)、当時の国語審議会の表記部会報告「外来語の表記」でした。表記の19の原則を示したこの報告は内閣告示には進みませんでしたが、その後長く、公用文・新聞・雑誌・放送の参考にされてきました。平成3年の告示は、この報告が実状と合わなくなってきたことを受けて作られたものです。昭和29年の報告で「なるべく用いない」とされていた「シェ、ジェ」「ティ、ディ」が、平成3年には社会の使用状況を反映して第1表に位置付けられました。
なぜ今、見直すのか
35年の間に変わったこと
見直しの出発点は、令和5年(2023年)3月に国語分科会がまとめた「国語分科会で今後取り組むべき課題(報告)」です。そこには、「外来語の表記」の実施から30年以上が経過し、外来語は増加の一途をたどっており、表記に関する状況にも変化が生じている可能性がある。調査によって現状を把握し、手当てが必要な状況が明らかになった場合には見直しを行うことが考えられる、と書かれています。
論点整理(案)は、現状として3つの点を挙げています。1つ目は、各分野で最新の概念を表す用語が外国語に基づいて取り入れられ、現行の告示が取り上げていない新しい音が国語に入ってきているかどうかを把握する必要があること。2つ目は、これまでの告示は原則として欧米語を対象としてきたが、欧米以外に由来する固有名詞・人名・地名に触れる機会が増えていること。3つ目は、「プラットフォーム/プラットホーム」のように、表記の揺れとそれに伴う意味の使い分けが、特に外国語として日本語を学ぶ人に分かりにくいという指摘です。
委員会の進み方
外来語小委員会は2026年4月30日に設置され、同日の第1回会合で主査の田中牧郎氏は、1991年から35年間、今の規範で運用されてきたこと、外来語の表記は35年前と比べるとかなり安定していること、一方で英語の浸透、日本語を母語としない人の増加、外来語の語彙の入れ替わりが著しいことを挙げ、「実態把握を伴って、分かりやすい規範の在り方を考えたい」と述べています。文化庁からは、今期(1年間)のうちに「最終的にはどのような成果の形を想定するのか」の方向性を示してほしいという依頼がありました。
会合は6月12日(第2回)、8月7日(第3回)、9月18日(第4回)と重ねられ、第4回で「これまでの論点(案)」が示されました。10月23日の第5回会合の議題も「外来語の表記に関する検討」です。
論点整理(案)が示した主な論点

9月18日の資料2「外来語の表記に関するこれまでの論点(案)」は、委員の発言を11の項目に整理したものです。結論ではなく論点の束ですが、教材の表記を考える立場から見ておきたいものを拾います。
原語に近づけるのか、日本語の音韻の範囲で考えるのか
最も大きな軸がこれです。外国語を原語に近い形で書くのか、日本語の一部と割り切って、日本語で書きやすく聞き取りやすい表記を目指すのか。論点整理(案)は、この引っ張り合いから「デイ/デー」「メイク/メーク」「ネイル/ネール」のような揺れが生じていると見ています。辞書など規範性を求められるものは日本語の音韻の範囲にとどまろうとし、新聞用語などでは原音に近い新しい表記が用いられる面がある、という指摘もあります。
公用文をはじめとする公共的な場面を念頭に置くなら、原語の発音の雰囲気を反映するより、日本語として判読しやすく、聞き取りやすく、発音しやすいことを重視すべきではないか、という意見が記録されています。
小書きの文字と「拍」の関係
「ウィ」「ウェ」「ウォ」は第2表にあります。委員の発言には、virus に当たる語を2拍で読むなら「ウイルス」、1拍なら「ウィ」と小書きするのが原則ではないか、しかしその原則の説明が告示にない、というものがあります。「ファ、フィ、ティ」は1拍として捉えられるようになったのに対し、「ウィ、ウェ、ウォ」は現代日本語でまだ1拍にも2拍にもなっていない「中途半端な状態」にあり、だからこそ第2表に置かれているのではないか、という見立てです。
一方で、「ウィークエンド」と書いてあっても〔ウィ〕と発音する人は少ないのではないか、「セキュリティ」と書いてあっても言いにくいので〔セキュリティー〕と読むのではないか、という指摘もあります。表記と発音は一対一に対応していない。発音の揺れではなく、従来のルールどおりの表記と新しい表記がぶつかっていることをどう解消するかが課題ではないか、と整理されています。
「ヴ」は英語起源の語ではほとんど使われていない
原語の V について、固有名やフランス語など英語起源以外のものが「ヴ」になっていることはあるものの、英語起源のものは大体95%ぐらいがバ行になっており、「ヴ」はほとんど出てこないという実態が報告されています。歯で下唇をかむことが想定される「ヴ」は表に入ってはいるが、外来音として定着しているとは考えにくい、という見方です。「スィーツ」のような表記についても、音韻との対応で用いられているわけではなく、装飾的効果や「はやり」の問題ではないか、とされています。
固有名詞をどうするか
告示の用例集にある語のうち、半分ぐらいは人名・地名などの固有名詞です。固有名詞は言い換えができないため必ず表記することになり、ここに対応できる規範にするなら扱う範囲は広くなります。人名・地名はできるだけ原音に近い表記にし、それ以外の語は日本語を母語とする人が言いやすい平易な片仮名にすればよいのではないか、という意見が出ています。新聞界では、ブドウの品種もアメリカの州も「デラウェア」と同じ表記を用いるなど、人名・地名も一緒に考えて統一しているそうです。
用例集・用語集の在り方
外来語の書き方の原則を定めても例外が相当多くなり、類推は容易ではない。そのため用例集に頼らざるを得ない、という前提のもとで、何を載せるかが問われています。表記によって意味が異なるものを優先的に挙げる、「デー/デイ」のように複合語になると表記が変わるもの(「デイサービス」「デイトレード」)など混乱が起きやすいものを集める、といった工夫が挙げられました。世の中の片仮名語を網羅する用語集にするのか、新しい用語が出てきたときの指針にするのか、という考え方の違いも整理されています。
予測変換と生成AIの時代
慣用がどう形成されるかについて、興味深い指摘があります。以前の予測変換は利用者の癖を学習した個人的なものでしたが、今は個人を超えた広いデータに基づいて変換候補が示され、そこから各自が選ぶようになっている。一般に用いられる表記も予測変換から生じたものが使われて循環し、慣用として定着していくことが起こるのではないか、というものです。生成AIも同じ文脈で挙げられています。
世論調査が映す「今の揺れ」
8組の語の結果
10月2日に文化庁が公表した令和7年度「国語に関する世論調査」(2026年1月13日から3月3日、全国16歳以上の3,777人が回答、郵送法)の問17は、8組の外来語について、「次の(1)〜(8)の言葉を書くとしたら、次のうちのどちらの書き方にしますか」と尋ねています。選択肢には「場合によって使い分ける」もあるため、2つの割合を足しても100%にはなりません。結果は次のとおりです。
- メディシン 47.9%/メディスン 38.8%:「メディスン」は30〜40代と60代で4割台前半
- サステナブル 64.5%/サステイナブル 28.6%:「サステナブル」は20〜30代で7割台後半、「サステイナブル」は60代以上で3割台後半
- フィナンシャル 38.1%/ファイナンシャル 49.8%:「フィナンシャル」は16〜19歳で60.7%、「ファイナンシャル」は30代で58.9%
- デキャンタ 41.4%/デカンタ 46.8%:「デカンタ」は70歳以上で52.6%
- レクリエーション 60.0%/レクレーション 33.5%:「レクリエーション」は年代が下がるほど高く16〜19歳で87.5%、「レクレーション」は70歳以上で51.2%
- リファレンス 62.8%/レファレンス 26.4%:「レファレンス」は70歳以上で36.1%
- スムーズ 87.9%/スムース 5.9%:全年齢層で「スムーズ」が8割超
- バッジ 76.3%/バッヂ 17.2%:「バッヂ」は70歳以上で25.3%
揺れの大きさは語によって違う
8組を並べると、揺れの性質がまったく違うことが分かります。「スムーズ」「バッジ」はほぼ決着しており、「サステナブル」「リファレンス」「レクリエーション」は6割台で優勢。「メディシン/メディスン」「デキャンタ/デカンタ」「フィナンシャル/ファイナンシャル」は、いずれも優勢な側が5割に届かず、差は5〜12ポイントにとどまります。
もう1つ見えるのは年代差の向きです。「レクリエーション」は年代が下がるほど優勢な側に寄り、「サステナブル」は20〜30代で最も高くなっています。一方「フィナンシャル」は16〜19歳で6割と、全体の傾向(「ファイナンシャル」優勢)と逆です。論点整理(案)が指摘する、発音にも時代・世代差があるということが、表記の選択にも表れています。小中高生向けの教材と、保護者や一般向けの資料とで、読み手の「なじみ」が違いうるということです。
同じ世論調査の問1の付問では、国語への関心がある人(全体の83.1%)に関心の対象を尋ねており、「文字や表記の仕方あるいは文章の書き方」を選んだ人は40.8%で、「日常の言葉遣いや話し方」(77.0%)、「敬語の使い方」(48.6%)に続く3番目でした。表記は、少なくない読者が気にして見ている部分です。
教材・教科書づくりで何が問われるか

学校教育と外来語の表記
論点整理(案)には「外来語の表記と学校教育」という項目があります。小学校での片仮名の学習は、平仮名や漢字に比べると手薄である。和語・漢語・外来語という単元はあるが、そこで例示されている外来語は第1表の、本当に揺れがないようなところの例示のみである、という指摘です。揺れた表記は学校教育とは別に社会生活の中で見たり読んだりして獲得していくもので、それぞれの人の言語感覚によるところが大きい、とも書かれています。
教材をつくる側から見ると、ここから2つのことが考えられます。1つは、教科書・教材の本文で使う外来語は、揺れのない第1表の範囲に収めるのが基本になるだろうということ。もう1つは、第2表や「自由」の領域にある語を使うときには、児童生徒が学校で原則を学んでいないことを前提に、教材側で表記を決め、揃える責任があるということです。いずれも論点整理(案)の帰結ではなく、現状指摘から筆者が引き出した考えです。
表記ルールの3つの層
実務では、外来語の表記は3つの層で決まっていきます。
1つ目は国の告示です。第1表を基本に、必要に応じて第2表を使う。特別な音は自由。ここは「よりどころ」であって、1語1表記を定めるものではありません。
2つ目は社内・シリーズの表記基準です。告示が決めていない「どちらに寄せるか」を、出版社や教材会社、シリーズごとに決めます。原音寄りか、日本語の音韻寄りか。「ウイルス」か「ウィルス」か。「ヴ」を使うか、バ行に統一するか。長音符号を付けるか(「コンピュータ/コンピューター」)。論点整理(案)が示した軸は、そのままこの基準の項目になります。読み手が小学生なら日本語の音韻寄りに、専門用語の多い高校・大学向けなら業界の慣用に合わせる、という判断もここで行います。
3つ目は用語集です。基準だけでは類推できない語を、1語ずつ決めて記録します。論点整理(案)が指摘するとおり、「デー」と単独で書く語が複合語では「デイサービス」になるような例は、原則からは導けません。表記によって意味が分かれる語(「プラットフォーム/プラットホーム」)も、用語集で扱うほうが確実です。
「揺れ」を校正でどう扱うか
校正の現場で外来語の表記が問題になるのは、ほとんどの場合「どちらが正しいか」ではなく「同じ本の中で揃っているか」です。論点整理(案)にも、企業の報道発表を対象にした実態調査では9割方1つの表記に偏っており、複数の表記が見られても「揺れ」とまでは言えないものもある、という発言があります。1冊の中、1シリーズの中で揃っていれば、読み手は困りません。
揃えるための実務のポイントは、表記基準と用語集を原稿を書く前に共有することと、校正の段階では用語集に無い語が出てきたときに「どちらに寄せたか」を記録して用語集に戻すことです。この往復がないと、巻を重ねるごとに表記が割れていきます。校正・校閲の作業全体の流れは、校正と校閲の違いとは?で整理しています。
読み上げと日本語を母語としない学習者
論点整理(案)には「自動読み上げ等への対応」「日本語を母語としない人への配慮」という項目もあります。読み上げたときに日本語として聞き取れるか、聞き間違いがないか。外国から来た人が緊急時に困るようなことが起きないよう、「ここだけは外せない」という軸を定めるとよい、という意見です。
デジタル教科書に字幕や音声読み上げが標準装備されていく流れ(デジタル教科書のアクセシビリティ方針)を考えると、表記の選択は「目で読んだときの見た目」だけでなく、「機械が読み上げたときの音」にも影響します。「ウィ」と「ウイ」、「ヴ」と「ブ」で読み上げが変わる環境があるのか、教材のデジタル展開では確認しておきたい点です。
今後のスケジュール
外来語小委員会は10月23日に第5回会合を開きます。文化庁の説明では、今期(1年間)のうちに、最終的にはどのような成果の形を想定するのかという方向性を示すことが期待されています。告示の改定に至るのか、用例集や手引の充実にとどまるのかは、今後の審議で示されることになります。現時点で示されているのは論点の整理であり、「ヴを廃止する」「ウィをウイに統一する」といった方針が決まったわけではないことには注意が必要です。
一方で、論点整理(案)には「表記の手引に両方を載せるといったような在り方も含め検討できるとよい」「発音を写していなくても、表記として広く用いられるものは認めるような緩やかな基準にしていくというのが今後の在り方であろう」という発言も記録されています。方向としては、1つに統一するより、揺れを踏まえた緩やかな基準と、充実した用例集という組み合わせが見えてきます。
よくある質問(FAQ)
「外来語の表記」は改定されたのですか?
されていません。2026年4月に文化審議会国語分科会に外来語小委員会が設置され、見直しの検討が始まった段階です。9月18日に論点整理(案)が示され、10月23日に第5回会合が開かれます。今期のうちに成果の形の方向性を示すことが期待されていますが、改定の有無や時期は決まっていません。
教科書や教材で「ヴ」を使ってはいけないのですか?
告示の第2表に「ヴァ、ヴィ、ヴ、ヴェ、ヴォ」はあり、原音に近く書き表そうとする場合に用いることができます。ただし論点整理(案)では、英語起源の語では大体95%がバ行で書かれている実態が報告されています。教材では、読み手の年齢とシリーズの表記基準に従って、どちらかに統一することが大切です。
「サステナブル」と「サステイナブル」はどちらが正しいのですか?
告示はどちらかを「正しい」と定めていません。令和7年度の国語世論調査では、「サステナブル」を使う人が64.5%、「サステイナブル」が28.6%で、20〜30代では「サステナブル」が7割台後半でした。教材では、優勢な表記に合わせたうえで、1冊・1シリーズの中で揃えることが実務上の答えになります。
世論調査の結果は、告示の見直しに使われるのですか?
論点整理(案)には「必要な調査」という項目があり、拍(モーラ)の意識や、発音と表記の対応を尋ねる調査が提案されています。世論調査の問17は、文化庁国語課が実施したもので、外来語の表記に関する一般の人々の選択を把握する調査の1つと考えられます。ただし、論点整理(案)が想定する調査は発音と表記の対応を尋ねるもので、問17とは目的が異なります。どの調査結果をどう使うかは今後の審議次第です。
教材の表記基準は何を基に作ればよいですか?
土台は内閣告示「外来語の表記」です。第1表を基本に、第2表を使う範囲、長音符号の扱い、「ヴ」の扱い、固有名詞の扱いなどを、読者層に合わせてシリーズごとに決めます。そのうえで、基準から導けない語は用語集に1語ずつ記録します。校正・校閲の工程で「揺れ」を見つけたら、用語集に戻して次の巻に引き継ぐ運用が要になります。
まとめ
「外来語の表記」は、1991年から35年間、「よりどころ」として社会に浸透してきました。外来語小委員会の論点整理(案)が示したのは、告示が決めてこなかった部分、つまり原語寄りか日本語の音韻寄りか、小書きの原則、「ヴ」、固有名詞、用例集の在り方です。世論調査の8組は、揺れの大きさも年代差の向きも、語ごとに違うことを教えてくれます。
教材をつくる側にとって、告示が緩やかであることは、裏返せば決める責任が現場にあるということです。告示を土台に、シリーズごとの表記基準と用語集を持ち、校正で揃え、揺れを記録して次に引き継ぐ。国の見直しがどこに着地するかを追いかけながら、この運用を整えておくことが、いま教材づくりにできる準備です。
エデュコンは、編集で表記基準・用語集の設計を、校正・校閲で原稿全体の表記統一と正確性の担保を承っています。シリーズ教材の表記ルールの整備や、改訂時の表記の見直しについて、お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人 / 監修
エデュコン教材制作チーム
創業以来、500社以上の教育機関様の教材制作を支援。
教育・IT・編集のプロフェッショナルが集まる専門チームが記事を監修しています。
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